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ドラえもん のび太の恐竜

1980年、小学館+シンエイ動画、藤子不二雄原作+脚本、清岡清治脚本、福富博監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

スネ夫(声-肝付兼太)から、ユタ州の恐竜公園でパパが見つけて来たと言うティラノザウルスの爪の化石を自慢げに見せられたのび太(声-小原乃梨子)、つい負けん気を出して「僕も恐竜丸ごとの化石見つけられる」「出来なかったら、鼻でスパゲッティを食べてやる!」と、みんなの前で苦し紛れの嘘を言ってしまう。

呆れたのは帰宅したのび太から事情を聞かされたドラえもん(声-大山のぶ代)、日本にはティラノザウルスなんかいなかったのだと教えるが、のび太は自分で本を読み、断層の所を探し出して、何とか化石を見つけようとするのだった。

しかし、そんな努力も空しく、のび太は断層下の家のおじさんから、落とした土の破片の苦情をいわれ、お詫びとして、ゴミを捨てる穴を掘ってくれと頼まれる。

泣く泣く、おじさんの土地を掘り返していたのび太は、茶色いボール大のものを掘り当てる。

すっかり恐竜の卵だと信じ込み、喜び勇んで帰宅したのび太を見たドラえもん、何だか訳の分からないものを拾って来たのび太に呆れながらも、自分一人でそこまで成し遂げたのび太の努力に感心するのだった。

タイムふろしきで時間を遡らせた結果、その謎の物体は本当に卵だった事が判明。

すっかり御機嫌ののび太は、その卵を布団に抱いて暖め、とうとうある日、卵の中から小さな恐竜が生まれる。

ピー太と名付けられたその首長スズキ竜は、成長促進剤を与えた事で見る見る大きくなり、これ以上家には隠しておけないと公園の池に放しに行く。

ところが、せっかく大きく育てて、今こそ、スネ夫たちに見せてやろうと出かけたのび太だったが、折から連休中と言う事で、スネ夫もジャイアン(声-たてかべ和也)もしずかちゃん(声-野村道子)も全員留守。

さらに、公園のピー太を目撃したという報道までされている事を知ったのび太は、ピー太を一億年前の白亜紀に戻す決心をする。

スモールライトで小さくしたピー太を、タイムマシンで白亜紀に無事戻しに行った後、約束だからと、無理矢理スパゲティを鼻に押し込まれそうになったのび太は、みんなにタイムテレビで、ピー太の今の姿を見せる事にする。

ところが、画面に映し出されたのは、種類の違う首長竜たちにいじめられているピー太の姿だった。

実は、のび太たちがピー太を置いて来たのは、日本近海ではなく北米だったらしいのだ。

慌てて、ピー太を救出に行くのび太、ドラえもんに他の三人たち。

ところが、タイムワープ中の彼らを攻撃して来た別のタイムマシーンがあった。

数日前、のび太の部屋に突如出現した、覆面姿の謎の男の仲間らしい。

それでも何とか白亜紀に到着し、無事、ピー太と再会して大喜びののび太たち。

しかし、ドラえもんの顔色は冴えない。

何と、タイムマシンの空間移動装置が先ほどの攻撃で破壊されてしまい、時間移動はできるものの、日本の自宅には戻れなくなったのだ。

その後のび太ら一行は、タケコプターを休み休み使用しながら、日本を目指して旅をする事を決心する。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ドラ焼きの中からドラえもんが登場するタイトルで始まる初のオリジナル劇場版である。

当たり前の事だが、今観ると、ドラえもん以下声優陣の声の若さが新鮮である。
CGなどはまだないにせよ、SFX的な特殊技術も、この時点ではさほど使われていなかった事も分かる。

子供映画の王道ともいうべき「動物との出合と別れ」パターンと、藤子先生得意のタイムトリップものを合体させた壮大なストーリーは、その後、シリーズ内で何度もアレンジされて行く一つの基本パターンとなるものである。

何でも人に頼りがちなのび太が、自らついた嘘を実現させるためとはいえ、結果的に自分なりに勉強して努力したり、動物を育てて慈しむ気持ちを持つ姿を観客たちに見せて、その大切さを学ばせている。

劇場版とあって、ドラえもんの取り出す魔法の道具は盛り沢山。

タイムふろしき、成長促進剤、スモールライト、ビッグライト、着せ替えカメラ、キャンピングカプセル、桃太郎印きびだんご、さらに食料用のカップ麺まで…。

これだけあれこれ出せるのに、タイムマシンの部分的な故障が直せないのは不思議な気もするが、そこはハラハラさせるための御愛嬌と言う事だろう。

何故か、シャワーシーンを含め、しずかちゃんのヌードシーンが三ケ所もあるのは、幼児向けの下ネタサービスのつもりなのだろうか?(のび太のパパの入浴シーンまである)

途中から、23世紀の未来からやって来た「恐竜ハンター」たちも合流し…とアイデアは満載なのだが、タイムマシンの機能説明など、大人には理解できても、幼児にはちょっと難しいと思われる箇所がいくつかあったり、展開がやや単調な印象だったりと気になる点も見受けられ、映画としてのダイナミズムというか面白さとしては今一つの観が残る。

2006年に、新声優陣と最新技術によってリメイクされるらしい「のび太の恐竜」に期待しよう。