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危険な女たち

1985年、クラップボード+松竹、アガサ・クリスティ「ホロー荘の殺人」原作、竹内銃一郎+古田求脚本、野村芳太郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

病院長の地位を引退した絹村夫妻(小沢栄太郎、北林谷栄)の南紀白浜にある別荘に、病院長代理を勤めるようになった棚瀬秀雄(寺尾聰)紀子(大竹しのぶ)夫妻、小児ゼンソクの治療のため絹村邸に世話になっていた棚瀬夫妻の独り息子守、絹村婦人の甥の升森弘(三田村邦彦)、その弘とかつて付き合っておりライバル関係だった冴子(池上季実子)と美智子(和由布子)、近所に住むハードボイルド作家、枇杷坂(石坂浩二)らが集まって来る。

医者の棚瀬秀雄は、不器用で失敗ばかりしている妻に優しい夫だったが、同時に冴子、さらに、彼を追って近くの貸別荘にやって来たジャズ歌手の橘まゆみ(藤真利子)とも昔からの関係を引きずっている男であった。

翌朝、磯釣りに全員で出かけた彼らは、時ならぬ銃声に驚き集まって来るが、そこで彼らが見たものは、胸を撃たれ倒れた棚瀬秀雄と、拳銃を手にした妻、紀子の姿。

和歌山県警の堂園(夏八木勲)は、ごく自然に紀子を夫殺害の容疑者として事情聴取しはじめるのだが、彼女はいつのもようにぼんやりしていて、落ちていた拳銃を拾っただけだというし、後に事件現場近くの海中から発見された拳銃は、息子の守が持っていたただのモデルガン、弾など撃てるようなものではなかった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

野村芳太郎監督の遺作となった作品。

出だしは美しい風景描写と音楽で期待させるし、映画としては比較的丁寧に作られた作品だと思う。

地方ロケもしっかり撮影されており、最初の内はスケール感もあるのだが…。

ただし、屋敷に人間たちが集合してしまうと、どうしてもちんまりとしたテレビサスペンス風の印象になってしまうし、一つしか起きない事件も殺人なのか事故なのかはっきり分からないような曖昧なもの。

その後の展開も、取り立ててスリリングというようなものでもなく、ミステリー映画としては地味そのもの。

この時代の俳優のランクというか、ポジションを知っている人にとっては、キャスティングを見ただけで、誰が犯人で、どういう展開になるのかも大体想像できてしまうのもつらい。

もともとクリスティの原作なので、どちらかといえば「心理劇」に重きを置いている感じで、アクションやけれん味などで見せる感じではないのだが…。

原作でのポアロに当る探偵役も、金田一耕助ほどキャラクターがはっきりせず、印象が弱い。
好奇心いっぱいで陽性なタイプの堂園の妹(日色ともゑ)とのコンビで、今までとは違った感じの探偵像を作ろうとしたのだろうが、今一つ成功しているとはいい難い。

最後に、いつものように「しまった!」というは、当時の観客に対するサービスか?

どちらかといえば、女性客を意識した作りではないかと思う。