1962年、東京映画、長瀬喜伴脚本、久松静児監督作品。
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駅前温泉観光協会では、近所に出来たホテルにごっそり客を取られて寂れる一方の地元温泉を活性化するため協議が続けられていたが、ホテル極楽荘の主人で協会会長でもある伴野孫作(伴淳三郎)が出すアイデアはエロネタばかり。
そんな協会に怒鳴り込んで来たのは、前会長でホテル福屋の主人、吉田徳之助(森繁久彌)、白虎隊の末裔であることが自慢の元軍人であるこの男と、三助上がりの孫作とは、かねてより評判の犬猿の仲だった。
いつもの喧嘩が始まると、事務局長の次郎(フランキー堺)も、理事の一人で芸者の金太郎(沢村貞子)も呆れて、その場はあっさり散会になってしまう。
そんな孫作の隠し子でありながら、今はスカイラインのレストハウスの支配人を任されている高見幸太郎(夏木陽介)と徳之助の一人娘夏子(司葉子)は、二人の親とは無関係に以前から仲良く付き合っていた。
そんな福屋に、一人の美女が泊まりに来る。
妻を亡くした徳之助が秘かに惚れているパーマ屋のママ、恵子(淡島千景)の古い友人、二木恵美子(淡路恵子)だという。
女好きの徳之助は、さっそく、恵美子の部屋に出かけ、無料サービスと称して按摩を始める。
一方、孫作の方も、眉をしかめる妻(森光子)や娘(原田毬子)の視線を気にすることなく、水着サービスと称して女性マッサージ師を男風呂に入れ、それを新聞社に取材させては得意がっていた。
そんな中、徳之助は、一人のみすぼらしい姿をした少女ゆみ(久保一美)と出会う。
実は、彼女は、数日前、家出した亭主を訪ねて山形から極楽荘へやって来たものの、その汚い姿のため相手にされず追い返された母親(菅井きん)が連れていた娘だった。
数日後、万引きをしたと警察の厄介になったその少女に再び出会った徳之助は、不憫な彼女の事を気にし始める。
そんな徳之助、いつものように、離婚して今は独身だという客の恵美子をマッサージしてやっていたのだが、そこへ突然現れたのが別れていたはずの彼女の亭主(三木のり平)。
実は、美恵子が離婚したというのは真っ赤な嘘だったのである。
しかも、その亭主は、戦時中、中隊長だった徳之助の部下だった男と分かり、互いにびっくり。
二人は、結婚の話をするためにやって来た幸太郎と夏子もそっちのけで、どんちゃん騒ぎに明け暮れるのだった…。
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お馴染み「駅前シリーズ」第4弾。
反目しあう二つの家の息子と娘が互いに愛しあっている…という「ロミオとジュリエット」ばりのストーリーを中心に、相変わらずの悪のりどたばた騒ぎと、娘を嫁がせる親の孤独と悲哀を重ねて描いている。
前半は、悪のりギャグの連発で、バカバカしくもかなり笑える。
全体的に、やや、フランキーが陰が薄いのが気になるが、 中盤は、三木のり平の参入で、さらに悪のりが加速し、後半の柳家金語楼も加わった「三助コンクール」でバカバカしさは絶好調を迎える展開になっている。
定番となったお色気ギャグも絶好調。
ドライな若者同士の関係はさらりと描かれており、どちらかというと、薄幸の少女に、自分の孤独を重ねていく徳之助の人情ドラマの部分が良い。
ラストは情感があって、心に残る名シーン。
