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喜劇 駅前団地

1961年、東京映画、長瀬喜伴脚本、久松静児監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

百合丘駅の前には、美人ママ(淡谷恵子)が経営している高砂亭という飲み屋があり、ママさん目当てのスケベオヤジたちが集合している。

歌手の坂本九にそっくりと評判のクリーニング屋の九ちゃん(坂本九)のお目当ては、その店で働いている桃子(黛ひかる)だった。

その駅前には、暁天堂という古くからの開業医があり、妻に先立たれ、桂一(二木まこと)という独り息子の父親でもある2代目の戸倉金太郎(森繁久彌)は、父親の大先生(左卜全)に、友人で最近、農地を売りに出している権田孫作(伴淳三郎)の土地を購入して、新しい病院を作りたいと相談していた。

実は、近くに第二団地が建設されるという事で、その近くに開業すれば客も増えると見込んでの発案だった。

ちょうどそこへ当の孫作が遊びに来たので、その話を切り出した金太郎だったが、狙っていたその土地ならすでに売れてしまったという。

そんな暁天堂に高砂亭のママが腹痛を起こしたとの連絡、診察の結果、盲腸と分かり緊急入院。
ママさんの取り巻き連中が連日見舞いに押し寄せるが、一番熱心なのは、女房(森光子)と3人の子供持ちながら、女好きが止められない孫作だった。

狙っていた土地に未練があり、様子を見に出かけた金太郎は、そこで、C調な男に連れられた見目美しい女性に遭遇。
聞けば、その女性が土地を買った本人であり、しかも彼女は女医で、ここに新しい病院を建てるのだという。

そんな暁天堂に、後刻、交通事故のけが人が運び込まれる。

何と、先ほどあったばかりの女医さんではないか。

実は、彼女を同乗させていた不動産屋でC調男の桜井(フランキー堺)の車が途中でエンストを起こした所に、清掃業の荒寅組のトラックがぶつかったのだ。

小松原(淡島千景)というその女医は、こんな田舎のヤブ医者の所では心配と駆け付けた母親に嘆くのだが、見舞いに訪れた恩師のいう所によれば、ここの金太郎という医者は優秀な形成外科医なのだという。

そんな最中、孫作の長男一郎(久保賢)は、農業を止め成金に成り下がってしまった父親を嫌い、自分は父親にいわれるままに大学進学するのではなく、養豚業をはじめたいと、親しくなった桃子に打ち明けていた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「駅前シリーズ」第二弾。

このシリーズ、名前だけは昔から知っていたのだが、実際に観るのはごく最近になってからである。

色々発見があって、興味尽きない魅力がある。

まず、本作で一番気になるのは、一郎を演じている青年。

どう見ても、後に日活作品などで青春スターとして活躍する山内賢である。

調べてみたら、何と彼は、久保明(「マタンゴ」など)の実弟というではないか!(今の今まで知らなかった…)

さらに、金太郎の息子を演じている二木まこと君は、二木てるみの弟!(確かに、そっくり)

おまわりさん役の千葉信男や、高砂亭で働く店員の一人、小桜京子など懐かしい顔ぶれも登場している。

しかし何といっても、この作品から、当時のアイドル的存在だった坂本九が、狂言回しとして重要な役柄を演じているという事を知った。

このシリーズは、森繁、伴淳、フランキーのおじさんトリオの魅力だけではなく、当初は、アイドル人気で若者層からも受け入れられていたということなのだ。

出だしからして、大体後半の展開は読めるのだが、ほのぼのとした人情ドラマとして安心して観ていられる佳作である。