1961年、東京映画、長瀬喜伴脚本、久松静児監督作品。
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東京から急行で3時間半、大阪から急行で4時間、浜松駅ではクリーニング屋の九ちゃん(坂本九)が、主人が亡くなったばかりの地元の弁当屋、互笑亭のウナギ弁当を売っている柳田金太郎(森繁久彌)と堀本孫作(伴淳三郎)の姿を見かけて、未亡人お景ちゃん(淡島千景)の後釜を狙っているのだろうとからかう。
景子の亡くなった亭主と二人は大の親友だったので、法事で集まったついでに手伝っていたという訳。
二人とも景子に気があるのは確かだったが、芸者の染太郎(淡路恵子)にもちょっかいを出すスケベ振り。
そんな景子には、バイクとドラムに夢中な遊び人の弟、次郎(フランキー堺)がいるのだが、これが全く店を手伝おうとしないで遊んでばかりいるのが、彼女の悩みの種であった。
そんな互笑亭に、企業診断師の偉い先生が大阪から来るというので、金太郎、孫作の二人も、景子の後見人として一緒に面会する事に。
倉持(花菱アチャコ)というその老人は大層な資産家だといい、地元をゆっくり見学したいと言い出したので、二人が案内する事になるのだが、オートレース場でバイクで音楽教室仲間と遊びに来ていた次郎と遭遇。
その次郎が口にしたいい加減な数字を聞いて信じた客の老人は、買ったその数字が大当り。
次郎の音楽学校の仲間、千代(黛ひかる)は彼のことが好きだったのだが、当の次郎の方は、バーのホステスあけみ(野口ふみえ)にぞっこん。
しかし、そのあけみには男(立原博)がいる事が発覚。
その男との喧嘩に、千代が本気で止めに入った事がきっかけとなり、二人は真剣に交際を始めるのだが、彼女の実家を訪ねてみると、何と彼女の父親及川由松(柳家金語楼)というのは、オートレース場で会っていたあの老人だった。
由松は、当った券の事で次郎を大歓待したのだが、千代との結婚だけには猛反対だった。
自分もバイク好きだけに、自分同様、女房を泣かせる事になるのは明らかだったからだ。
それを聞いた次郎は、この際、きっぱりバイクは止めると言い出す。
その頃、久々に地元を訪れていた次郎の義兄の大学時代の旧友、村井(加東大介)は、料亭で逃げまどう景子と、彼女にしつこく迫っていた倉持に廊下で偶然鉢合わせするのだが、村井にはその倉持の顔に見覚えがあった…。
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「駅前シリーズ」第三弾。
今回の森繁は、妻(千石規子)や娘がいるにもかかわらず、カメラで女性のヌードを撮るのが趣味の織機会社の社長、伴淳は妻に先立たれたストリップ小屋の経営者という役所。
二人とも、単なる情けないスケベオヤジという感じで、主役というよりはストーリー展開の狂言回しといった印象になっている。
坂本九は、前作同様歌が大好きなヤンチャ青年という事で、渡辺トモコと共に、今回も楽しい歌を劇中で披露する。
こうした愉快なキャラクターたちが物語を明るく色どっている以外は、特に大袈裟なドタバタもなく、大爆笑ものといった感じではない。
地方の観光要素とお色気要素がサービスとして挿入されている感じである。
今回の主役は、フランキーだろう。
本当に自分を愛してくれていた千代の気持ちに触れた事、台風で列車が停まり、急遽、緊急の炊き出し仕事に挑む互笑亭の従業員たちの真剣さを目の当たりにして、彼の気持ちは変化していく。
二枚目役として登場する加東大介が、きっかけとなり、ラストは全て(森繁、伴淳以外は)が丸くおさまるのがすがすがしい。
出来としては、まずまず…といった所ではないだろうか。
