TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

河童の三平 妖怪大作戦

1968年、東映テレビ・プロ、水木しげる原作、伊上勝脚本、北村秀敏監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

砂かけのおババの予言で、河童の国の呪を受け、記憶をなくして放浪の旅を続ける三平の母親好江は南西にいると聞かされた河原三平(金子吉延)、河童の国の後継ぎとなる娘カン子(松井八知栄)、そのお守役で随行する河童の六兵衛(牧冬吉)の三人は、羽田空港にたどり着くが、母親の所在は全くつかめないまま。

好奇心いっぱいのカン子は、三平にちょうど到着したばかりの飛行機はどこから来たのかと尋ね、三平はヨーロッパからと答える。

その飛行機から降り立った二人の外国人男女はタクシーを拾うと、奥多摩までと行く先をいうが、山奥に到着すると、運転手に気付かれないようにタクシーから岩場に移動、山肌に向って「岩よ 岩よ 壁となり石となり、我が城となれ!」と呪文を唱え、崖から巨大な西洋の城を出現させるのだった。

それを目撃したタクシーの運転手はおかしくなり東京の病院へ。

その頃、アパート住まいの蝦蟇令嬢(小桜京子)の部屋の窓に、奥多摩で妖怪大パーティがあるとの、黒縁の招待状が貼り付き、それを読んだ彼女はウキウキ気分。

そんな蝦蟇令嬢を訪ね、近くの病院に記憶をなくした人が運び込まれたとの情報を得た三平らは、母親かも知れないとさっそく向うが、人違いと分かりがっかり。

しかし、運転手のうわ言から、妖怪の仕業と気付いた三平らは奥多摩へ向うのだが、そこで、白覆面の怪人たちから追われていた外国人女性を助ける。

彼女はマリと名乗り、父親がいるという妖怪城へ三人を連れ込むのだが、彼女こそ、日本の妖怪を支配しようとしてヨーロッパから乗り込んで来た大魔王サタン(ハンス・ホルネフ)の手下、魔女パンドラ(キャッシー・ホーラン)だった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

妖怪ブームが巻き起こった1968年の12月に、深作欣二監督「ガンマ3号 宇宙大作戦」「ピノキオの宇宙大冒険」などと一緒に「東映ちびっ子祭り」として東映で公開された、テレビ特撮番組「河童の三平 妖怪大作戦」の第5話「恐怖城」の回である。

水木しげる原作のテレビ特撮番組「悪魔くん」と違い、かなり低予算で作られた白黒作品だけに、金のかかった着ぐるみモンスターの類いは登場せず、大半がメイクを施した俳優が妖怪役を熱演、派手さはなく、回によって出来のばらつきもあるが、それなりに独特の無気味さを表現した番組であった。

なお、この回には、レギュラー的存在の砂かけのおババ(武智豊子)や三平の母親好江(山辺潤子)、いたち男(潮健児)などは登場しない。

パンドラを演じるキャッシー・ホーランは、同年公開の「吸血鬼ゴケミドロ」や「ガンマ3号 宇宙大作戦」にも出演している。

三平らが母を訪ねて各地を旅行するという基本路線はあるものの、何せ一話完結スタイルの30分番組だから、内容はどれもちんまりとしていたことは否定できない。

この回も、妖怪大パーティなど、前半は好奇心をくすぐる言葉が登場するが、アニメのように派手な展開や見せ場などはない。

それでも、妖怪城出現のシーンやクライマックスの人形を多用したユーモラスな空中戦など、矢島信男の手になる特撮は、チープさに目をつぶれば、あれこれ工夫が見られ、それなりに楽しめる。

魔王の妖力にたぶらかされて、六兵衛を襲ってしまう三平や、サタンに捕まったカン子ちゃんがギロチン台に縛られている所など、御都合主義といってしまえばそれまでだが、それなりにサスペンスを盛り込もうとする意欲は伺える。

絶大なる魔力を秘めたサタンに、三平はどう立ち向かうのか?

科学の知識が役に立つというまとめ方は、教育的で微笑ましい。