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顔役暁に死す

1961年、東宝、大薮春彦原作、池田一朗+小川英脚本、岡本喜八監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

二期目の倉岡市市長に当選した佐伯大三(林幹)は、当選パレードの途中で何者かに狙撃され死亡する。

そんな大三の次男坊で、5年前に家出をし、アラスカの森林開発の管理人をした後、久々に帰郷した暴れ者の佐伯次郎(加山雄三)は、ドリームランドという巨大遊園地などが出来た町の様変わりに驚いていたが、途中立ち寄ったガソリンスタンドの店員(大村千吉)から、父親が亡くなった事をはじめて聞かされる事になるのだった。

実家に帰ってみると、そこには、3年前に父親が再婚したという久子(島崎雪子)という見知らぬ女が一人で財産を受け継ぎ暮していた。

さらに警察に出向き、昔よく世話になった細木警部(田崎潤)から事件の顛末を聞いた次郎は、当時自首して来たという犯人の行動に疑問を持つ。

さらに次郎は、亡き父親に代わり、今市町をしているのは、叔父の今村(柳永二郎)だという事も知る。
ドリームランドも、彼が作り上げたらしい。

そんな倉岡市は、運送会社を表向きの顔とする半田(田中邦衛)率いる半田組と、キャバレー「カスバ」の支配人を表向きの顔とする後藤(平田昭彦)率いる後藤組という二つのギャング組織に牛耳られ、近県一の犯罪都市といわれるほどの町に成り下がっていた。

二つの組とも、元市長の息子が帰って来て、事件をかぎ廻っている事を知るが、そんな次郎の元に「事件の証拠を持っているので買わないか」という男からの電話が入る。

義母から借り受けた100万円を持って待ち合わせ場所へ出向いた次郎だったが、現れたのは、巡回中の警官、関(山本廉)と、半田組の右腕、西条(中丸忠雄)、そして、後藤組の腕利き、松井(中谷一郎)。

不思議な事に、西条も松井も、証拠品の事など全く知らない様子。

その後、事件に使われた盗難ライフル銃の持主、滝川(村上冬樹)に会いに行った次郎は、おそらく、盗んだ男は娘淑子(水野久美)の元恋人で、その後事故死した康夫という男ではなかったかと聞かされる。

今は、「カスバ」で働いているその淑子に会った次郎は、このキャバレーの本当の経営者は後藤ではなく、何と、あの義母である事実を教えられるのであった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

同年の「暗黒街の弾痕」同様、加山雄三主演のサスペンスもの。

父親の不審な死の謎を、帰って来た放蕩息子が解決していくという展開になっている。

半田役の田中邦衛は「悪い奴ほどよく眠る」(1960)の無気味な殺し屋役で注目された人だが、この作品が加山雄三との初共演作品だったようだ。

共演とはいっても、二人の対面シーンは最後の方にちらりある程度だが。

この次の作品が「大学の若大将」での青大将役になる。

この加山、田中コンビ以外は、大体この時代の東宝常連組が、ほぼいつもと同じような役柄を演じている。

その加山演ずる主人公が、「暗黒街の弾痕」同様、今一つ魅力不足なのが残念。
屈託のない坊ちゃんには見えるのだが、劇中で説明しているような「暴れん坊」には見えない。
今回は、やくざ役の中谷一郎と奇妙な仲になる所などはちょっと面白いのだが。

田中邦衛の方も、「札付きのワル」というよりは、気の弱いボンボンにしか見えず、全く迫力不足。

ミッキー・カーチスが今回も狂言回し的な役柄で度々登場したりしているが、ストーリー全体が、どこかで観たものの焼き直しのような印象があるのが弱い。