1969年、大映京都、浅井昭三郎脚本、田中徳三監督作品。
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享保14年、将軍吉宗の時代、九州佐賀の鍋島藩での話。
城主鍋島丹後守(上野山功一)の女好きは有名で、今日も、野分けに出かけて見初めた、竜造寺又七郎(戸田皓久)の妹小夜を側室にしたいといいだしたので、家老刑部(戸浦六宏)は苦り顔。
その話を聞かされた刑部の妹で側室のお豊の方(小林直美)と、中臈沢の井(毛利郁子)も、新しい側室には嫉妬の気持ちを抱いていた。
しかし、その城主からの申し出を、旧友の小森半左衛門(本郷功次郎)から受けた又七郎は、今は落ちぶれたとはいえ、もともと竜造寺家は由緒ある家柄ということもあり、きっぱり断るのだった。
雨のしのつく夜、丹後守は、碁を打つため登城した又七郎が、自分の重ねての申し出を断わるばかりか、碁の不正まで指摘したことに逆上し、その場に同席していた刑部と協力して又七郎を惨殺し、その遺体を井戸に埋めてしまう。
兄が帰宅せぬことを心配した小夜は、自宅の暗がりで、惨殺された兄の亡霊を観た直後、日頃、兄が可愛がっていた黒猫のたまがくわえて来た血染めの兄の頭巾を発見し、事の次第を悟るのであった。
さらに、突然訪れた目付けより、即日、領土立ち退きをせよと命ぜられた小夜は、絶望のため自害し、その生き血をたまに舐めさせ、復讐をしてくれと願って息絶える。
やがて、御城口で、夜、見回りの腰元二名が、何者かに喰い殺されたような姿で発見される。
さらに、寝所の丹後守も数々の怪異を目撃、恐怖におびえるようになる。
先んじて城内の異変を察知していた半左衛門は、小夜の墓参で同行した腰元の早苗(川崎あかね)から、中臈沢の井の様子がおかしいという情報を聞き付ける。
そんなある夜、お豊の方は、中臈沢の井が、部屋の行灯の油を舐めている異様な姿を目撃してしまい、変身して正体を現した怪猫に襲われるが、駆け付けた半左衛門に間一髪救われる。
玉の井の死をもって一件落着したかに思えた怪異だったが、その後、今度は、お豊の方に変化が起きはじめる…。
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お馴染み「鍋島藩の化け猫騒動」を描いた作品。
当時すでに、大映は倒産寸前の時期であったが、手を抜いた感じもなく、それなりにしっかり作られている。
ストーリー自体は、お馴染みのパターンにほぼ即したものであるし、あまり意外性がある訳ではないが、日本版ドラキュラを観る様で興味深い。
個人的には、怪猫のメイクに金色のカラーコンタクトを使っている所に興味を抱いた。
今まで、日本で最初に金のカラーコンタクトを使用したのは、東宝の「血を吸う」シリーズ(1970〜)が最初だと思っていたからだ。
ひょっとすると、この作品が最初の使用例なのかも知れない。
ワイヤーを使ったり、あれこれ視覚的な工夫はしてあるが、どれも古典的な手法で、さすがに今観て衝撃を受けるようなものではない。
戸浦六宏が渋い悪役を演じているのが印象的。
