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蛇娘と白髪魔

1968年、大映、楳図かずお原作、長谷川公之脚本、湯浅憲明監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

蛇などが多数飼われている無気味な屋敷で、通いのお手伝いさんが何者かに蛇を投げ付けられ、ショックで死亡するという事件が起こる。

その頃、めぐみ園という孤児院では、修道女の園長先生(三宅邦子)を前に、幼い頃生き別れていてようやく巡り合えた南條という実の父親(北原義郎)に引取られていく小学生、小百合(松井八知栄)の姿があった。

孤児院の先輩で、今は事務の仕事を手伝っている林達也(平泉征)から、小百合はお祝に可愛い人形をプレゼントされるのだが、家に帰る途中の車の中で、父親から気になる事をいい聞かされる。

母親の夕子(浜田ゆう子)は、近くの工事現場でトラックにぶつかって以来、少し様子がおかしくなったというのである。

しかも、南條家に着いた二人を待ち受けていたのは、亡くなったお手伝いさんの棺桶を運び出す光景。

あの無気味な屋敷は南條家であったのだ。

そんなことは知らない小百合は、はじめて会った母親夕子が、 自分のことを「タマミ」と呼ぶのに驚いた以外は、案外母親は普通に見えたので一安心。

しかし、その夜、毒蛇の研究家である父親に、珍しい蛇が見つかったのですぐに来るようにという電報が届けられ、急遽、父親はアフリカへと旅立つ事に。

当分、母親と住み込みのお手伝い、しげ(目黒幸子)と3人で暮す事になった小百合は、その夜から母親夕子の不思議な行動を目にする事になる。

深夜、誰もいないはずの仏間に、夕子が大量の食べ物をこっそり運び込み、そのすぐ後に、供えられたはずの食べ物がきれいになくなっているのを、小百合は盗み見してしまったのだ。

さらに、さゆりの身の回りに次々と奇怪な現象が起こりはじめる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

大映妖怪シリーズの第二弾「妖怪大戦争」の併映作として公開されたもので、「赤んぼう少女」「ママがこわい」を基本に、他にもいくつかの梅図漫画をミックスして独自の筋立てに仕上げたもの。

この作品にもゲスト出演している梅図先生は、その後、この映画の内容をさらに漫画にした「蛇娘と白髪鬼」を発表している。

主役の小百合を演じる松井八知栄は、水木しげる原作の特撮テレビドラマ「河童の三平 妖怪大作戦」で、河童の国の後継ぎの姫、カン子ちゃんを演じた美少女である。

小学生の女の子をターゲットにしたホラーという、当時の大映が挑んだ新しい路線であることにまず驚かされる。

昭和ガメラシリーズでお馴染みの湯浅監督は、低予算ながら、この作品でも、あれこれアイデアを凝らした丁寧な演出で、面白怖い独特の世界を作り上げている。

白黒映画という事もあって、無気味さは今観ても健在。

劇中に登場する蛇、クモ、がまがえるなどに関しては、本物以外に、何種類か作り物が用意され、シーンごとに効果的な使い分けがされている。

特に蛇は、数メートル大の巨大なものまで使用されており、この鳴き声はおそらく「ギャオス」の物だと思われる。

貰った人形が等身大の人間の姿になり小百合を連れて空を飛んで屋敷から逃げ出そうとしたり、西洋の剣が小百合に向って飛んで来て、その剣が空中で蛇に変型するといった、立体アニメテクニックを使った悪夢の中のシーンなどが特撮ファンには楽しめる。

オカルト的な要素、サスペンスミステリー要素、冒険ものような要素などが入り交じっており、それを盛り沢山なサービスと取るか、散漫と受取るかによって、本作の印象も違ったものになるはず。

ちなみに、私は結構気に入った。