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ドン松五郎の生活 大追跡

1992年、ケイエスエス、井上ひさし原作、久保田圭司脚本、坂下正尚監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

川で、小箱に入れられ流されていた子犬を拾ったのは、売れない小説家、松沢けん(平田満)の一人娘で高校生のかず子(藤田めいる)だった。

成長してドン松五郎と名付けられた子犬は、何故か、けんの書斎から国語辞典を持ち出すという不思議な行動を取る。

さらに、犬小屋から抜け出し、独り散歩に出かけた松五郎は自由犬の平吉に出会い、坂の上の御隠居として近所の犬たちに慕われていた元警察犬キングに挨拶に出かける。

彼らは、最近、人間のおもちゃと化している犬の存在を嘆くのであった。

キングの買主は土地成金の大富豪清水幸一で、同じく犬自慢の塩原(レオナルド熊)が買っていたミニチュアシュナウザー犬の長太郎がコンテストに落ちた事をからかったので、怒った塩原は長太郎の耳を斬って形を整え、コンテストに優勝してみせると言い放つ。

人間の欲望のために身体を傷つけられる仲間を助けようと、キング、平吉、松五郎、そして、ホステスの飼い犬だったお銀ちゃんらは救出作戦を実行するのだが、翌朝、一旦は助けた平吉を清水家の息子がどこかに売渡してしまったので、さあ大変!

近所のペットショップを書け駆けずり回った松五郎らだったが、杳として長太郎の行方は知れず、とうとう、松五郎はテレビで訴える方法を考えつく。

家に帰った松五郎は、けんが探している本をくわえて来てみせて、自分が人間の言葉が理解できる事を証明、驚いたけんが友人のテレビディレクター(鈴木ヒロミツ)に連絡を取り、ついにテレビ出演が実現する。

生放送の番組内で松五郎は、全国の犬たちに超太郎に関する情報提供を犬の言葉で依頼、さらに、原稿用紙にペンで字を書いてみせる事で買主の面子も保ってみせる。

その結果、長太郎らしきシュナウザーが、渋谷の国会議員の家にいるらしいとの情報を得た松五郎たちは、その屋敷に様子をうかがいに行くのだが、その家の娘は、身分違いの恋人との仲を親に反対されて悩んでいるらしい事を知り、そちらの解決にも知恵を絞る事に…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「ドン松五郎の生活」(1986)「ドン松五郎の大冒険」(1988)に続く、松五郎シリーズの第三弾だが、本作はオリジナルビデオ版であり、劇場公開はされていない。

しかし、内容的には一番分かりやすく面白く仕上がっているような気がする。

分かりやすくなっている原因は、松五郎たち犬が、吹き替えによって人間の言葉をしゃべるようになった事。

これによって、犬たちの考え方やキャラクターが、観ている側にすっきり分かるようになった。

さらに、劇場版のようなスケール感や、豪華なキャスティング、スペクタクルなどがない代わりに、ストーリーで見せようとしているため、子供向けのテレビ番組を観ているような印象はあるにせよ、大人が観ても、それなりに凝った展開になっている事。

さらに、これまで釈然としなかった松五郎の存在理由が、この作品で一応説明されている事。

そうした事によって、動物ファンタジーとして素直に楽しむ事ができるようになっているのだ。

一応、母親もいるらしいのだが、画面上は平田満演ずるけんとかず子の父子関係に絞ってあり、二人ともなかなか好感が持てる演技をしている。

後半は大半が見知らぬ俳優ばかりになるのだが、ミステリータッチの展開となり、単調だった劇場版より、はるかに楽しめるものになっている。

動物好きな人にはお薦めの一本だろう。