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フランキーの僕は三人前

1958年、東京映画、井上薫+新井一脚本、瑞穂春海監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

鶴亀金融の外交員、田貫(田武謙三)は、毎日弁当を今川焼き屋のお徳(吉川満子)の店で使わせてもらっていたが、その2階に下宿している上野晋吉(フランキー堺)が、窓の外に「求職」の札を付けた風船を揚げているのに気付く。

大学を出たものの、いまだに就職先が決まらないのだというお徳の説明を聞いた田抜は、では自分の会社で働かないかと声をかける。

さらに、その直後に届いた速達で、新々製薬の就職も決まった事が分かり、晋吉は有頂天。

ところが、その後、帰宅した昼夜倉庫に勤める娘の時子(香川京子)まで、自分の会社で雇えるようになったというではないか。

とりあえず、各社の条件を知るために3社に掛け持ちで出かけた晋吉だったが、製薬会社では新製品のモルモット役、金融会社では厳しいノルマを課された外交員、倉庫では深夜の警備員とどれも厳しいものばかり、さらに各社の給料、4800円、4000円、5000円を全部足してようやく1万3800円の平均額に届く安さ。

気落ちする晋吉だったが、時子にハッパをかけられ、結局三つの仕事を全部を掛け持ちする事になる。

とりあえず、金融のお客になってくれるかも知れないと、時子の知人の外国人ジョージ(ジョージ・ルイカー)の知り合いのマダムに会いに行くが、何とそのマダムとは、鶴亀金融の社長室で出会っていた社長(左卜全)の愛人山路はるか(中田康子)だった。

いつも老人相手で、欲求不満気味だったはるかは、さっそく若い晋吉にモーションを仕掛けてくる。

何とかその場を逃れた晋吉だったが、翌日、製薬会社で精力剤「スリーマンデラックス」を飲まされる事に。

そんな晋吉の下宿先に、ある日、見知らぬ男が同居しはじめる。

時子を嫁に欲しいとを丹波篠山から出かけて来た三郎(藤木悠)だという。

自分も時子に気のある晋吉は三郎にライバル心を燃やすが、その晋吉を訪ねて、美しい女性が訪ねてくる。

会社で初対面の時から秘書だとばっかり晋吉が思い込んでいたその女性は、何と新々製薬の社長(十朱久雄)の一人娘、サヨ子(河内桃子)であった。

実はサヨ子は、城北大学のラグビー部の万年補欠だった晋吉の事を以前から知っていたのだという。

今度は、晋吉に気のある時子の方がやきもきしはじめる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

フランキー堺がフル回天で活躍するライトコメディ。

就職難を風刺した内容だが、とにかく陽気で楽しく若々しく、それでいて若者同士の恋愛模様もイキに処理され、観ていて嫌みがない。

最近、この手の楽しくてたまらないというタイプの邦画がなくなったのが寂しい。

途中から、時子と晋吉がコンビを組んで、二社の利害関係をうまく噛み合わせた出世作戦に展開するが、この辺はサラリーマン喜劇のテイスト。

特段の能力もなく気も弱い晋吉が、勝ち気で頭がよい時子に巧みに操縦されていく辺りが実に微笑ましい。

「ウルトラセブン」の「明日を捜せ」で、トラックから追い掛けられていた安井役、木田三千雄や、「隠密剣士」の風摩小太郎、「赤影」の甲賀幻妖斎などでお馴染みの名悪役、天津敏などが、意外な役で登場するのも見所。

小粒ながら、エンディングも洒落ていて、お見事!といいたくなるような佳品。