最近流行りのデジタルで増幅させた「オタクの実写マンガ映画」。
本作のオタクアイテムは「古典モンスター」と「007」。
古典モンスターをデジタルで再構築するアイデアそのものは「アンダーワールド」(2003)などでもすでに使われているが、本作では、さらにパロディ度とバカバカしさが増した感じになっている。
予算も「アンダーワールド」よりはかけているようで、美術的な見所ははるかに多い。
ストーリーそのものはモンスターオタクの妄想のようなものでハチャメチャなのだが、勢いというかノリで見せられる感じで、強引にラストまで引っ張ってしまう。
CG表現は、風景に関してはそれなりに出来ているのだが、モンスターの方は、正直、今一つといった所。
ジギル・ハイドやウルフマンの動きや造型は、どうみてもマンガである。
それにしても、モンスター表現にCGが当たり前になった今、変身シーンにも全くドキドキしなくなった事は確か。
「ハウリング」(1981)や「狼男アメリカン」(1981)の頃の衝撃が懐かしい。
当時は、一体、どうやっているんだろう?…という、素朴な好奇心を刺激されたものだが…。
今では、何でもCGでできるという感覚で観てしまうので、どんなに奇抜なビジュアルが出て来ても完全に「アニメ」を観ている感覚、何の驚きもない。
だから、この作品に「心の底からの恐怖感」とか「不気味さ」といったものはほとんどない。
あるのは「アクション」に次ぐ「アクション」、「こけおどかし」に次ぐ「こけおどかし」、完全にゲーム感覚だけである。
個人的には、冒頭の水車小屋のシーンがなかなか良かった。
ちゃんと、ボリス・カーロフの「フランケンシュタイン」(1931)を引用してくれているから。
ただし、そのフランケンシュタインの怪物をはじめ、主役級のドラキュラのデザインが今一つ魅力的でないのが気になる。
脇役クラスのハ−ピーを連想させる女ドラキュラたちなどは、それなりに印象に残るのに…。
何も考えずに、時間つぶしをしたい人向けの作品だろう。
