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Coo 遠い海から来たクー

1993年、角川書店+日本テレビ+バンダイビジュアル+ビクター音楽産業、景山民夫原作、岡本喜八脚本、今沢哲男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

フィジー共和国、パゴパゴ島、海洋生物学者の小畑徹郎(声-伊武雅刀)と小学生の息子の洋介(声-山崎裕太)は、同島に住むトンベラ酋長の許可をもらって二人暮しをしていた。

4才の時に母親を交通事故でなくした洋介の友達は犬のクストーと2頭のイルカ、ブルーとホワイトチップ。

本島の小学校には、オーストラリア人のパイロット、トニー(声-神谷明)の操縦する観光用セスナで送り迎えをしてもらっていたのだが、ある朝、遅刻しそうになって慌てていた洋介は、離れ小島の水際で見かけぬアザラシのような動物の赤ん坊を発見する。

父親に見せたところ、洋介の直感と意見は一致。

その動物は、6500万年も前に生息していたといわれるプレシオザウルスの子供らしいと確信するのだった。

その動物は鳴き声から「ク−」と命名され、はじめて見たものを母親と認識する「刷り込み」現象で洋介になつくようになる。

その頃、そのクーを生んだ母親プレシオザウルスの遺骸が別の小島に漂着するのだが、その知らせを受けた謎の外国人が動き出すのだった。

一方、パゴパゴ島にも、日系三世のキャシー(声-山口智子)なる美女がトニーの飛行機に乗ってやってくる。

彼女は、小畑父子にとって敵なのか味方なのか…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

日本テレビの開局20周年記念作品で、第99回直木賞を受賞した景山民夫の小説をアニメ化したもの。

同じ年に公開された「REX 恐竜物語」と同じような雰囲気を持つ子供向けの異生物交流物語になっている。

アニメとしては丁寧な仕事振りで、海の表現等、エフェクト等をうまく使って、南の海特有の透明感のある美しさを巧みに表現している。

中盤の見所は、暴力が嫌いな小畑親子と、クーを奪おうと島に襲来したアイフルという外人部隊との戦い振りにある。

後半は、ガンビエール諸島というところで、核実験を強行しようとするフランス海軍と、それを阻止しようとする自然保護団体グリーンアースとの駆け引きが描かれていく。

あくまでも小学生くらいの男の子を対象としたアニメ作品なので、アクションにしてもサスペンスにしても、大人の目で観ると多少物足りなさを感じないでもなく、特に、後半の盛り上がり感に欠けるような印象もあるが、子供向けとしてはそれなりの出来になっているのではないか。

劇場版オリジナルアニメというのは、初めて観る絵柄やキャラクターに馴染めるか否かというような問題などもあり、そういう部分で、観る側の好みが分かれる部分もあると思う。

さらに、未知の生物との遭遇というテーマ自体「実写で観て」こそインパクトがあるような気もし、アニメ表現だと、どこか「驚き感が希薄」なのは確か。

この辺に、ヒットした「REX〜」との興行的な差が生まれたのではないか。

予算の関係もあって、当時の技術力ではアニメ化という選択肢しかなかったのだろうが、一度、この作品の実写版も観たいような気がする。

とはいえ、本作も決して悪い出来という訳ではなく、今観ても、それなりに楽しめるはずである。