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てなもんや三度笠

1963年、東映京都、香川登志緒原作、野上竜雄脚本、内出好吉監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

文久3年、どこの組にいっても「ものにならない!」と放り出される新米ヤクザのあんかけの時次郎(藤田まこと)は、住吉神社で「日本一のヤクザになること」「金がぎょうさん儲かること」「きれいなねえちゃんにもてること」と三つも願いをかけていると、それは無理だとおかしな声が返ってくる。

良く見てみると、賽銭箱の陰から小坊主が姿を現す。

後で素性を聞けば、おねしょをすることから廻りにいじめられ、寺を飛び出してきた本懐坊珍念(白木みのる)だという。

その当時、腕に自慢のヤクザたちは、皆、清水の次郎長を斬って名を上げようと、誰もが西に向っていた。

奉行所では、新しく赴任した奉行(大泉晃)が地元で評判の三平(平参平)をおだてて捕り手に任命し、次郎長を斬ろうとするヤクザたちを捕らえろと命ずるのだった。

その頃、刀の鞘に倒した相手の数だけ傷を付けている腕自慢の上州の馬吉(星十郎)から金を巻き上げられ、無一文になって困り果てていた時次郎と珍念は、馬吉の真似をして、刀の鞘に傷をたくさん付け、さも腕利きのように見せ掛けた時次郎と珍念のインチキお祓いの合わせ技で小銭稼ぎをしようとするがうまくいかず、ヤクザ同士の大げんかの現場に駆け付け、その仲裁をしようとするが、これ又相手にさえされなかった。

ところが、近くで、二つの組の用心棒同士(夢路いとし、喜味こいし)が相打ちになる現場に出くわした時次郎は、後からやってきた両方の組のヤクザたちから、二人を斬った腕利きだと誤解される。

珍念に焚き付けられるまま、どちらかの組に大金を出させて雇ってもらおうとした時次郎だったが、あまりに吹き掛け過ぎたので、結局、話はまとまらず。
しかし、時次郎が腕利きだとの噂だけは一人歩きして行く。

三平は、時次郎を標的として後を追うが、当の時次郎を強いヤクザだと勘違いしたズブ源(伊吹幾太郎)、バラ吉(高根利夫)、ハゲ六(結城哲也)が、押し掛け子分になっていた。

次郎長を倒すため西に進む時次郎と珍念には、噂を聞き付けて加わってくる「にわか子分」がどんどん増えて行くばかり…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

テレビで視聴率60%を超える空前の人気を誇り、若き藤田まことを一躍お茶の間の人気者に押し上げた「てなもんや三度笠」を映画化した作品。

映画版は、その基本設定を生かしながら独自の展開に仕上げてあり、それなりにまとまった時代劇コメディといった感じだが、 テレビほど爆笑ものにはなっていないような印象がある。

水口の宿で、三平が遭遇する地元の岡っ引き(芦屋雁之助)と、何故かその岡っ引きからいんちき忍法を習っている農民の崑之助(大村崑)と雁太郎(芦屋小雁)、メリケン谷吉ことトニー谷、芸者のチャカ奴には茶川一郎、凄腕の浪人、黒手一角こと堺駿二など、当時の人気者たちが顔を見せているのが楽しい。

清水の次郎長に扮するは花菱アチャコ、その子分の岩松には、美空ひばりの実弟で、この当時、顔つきもそっくりだった香山武彦が扮している。

ただ、テレビのレギュラーだった蛇口一角役の財津一郎が登場しないのがちょっと物足りない。

一角の口癖「きびし〜!」を時次郎がいっているところから、財津は事情があって出れなかったのだろう。

堺駿二の黒手一角は、名前からしても、その代役みたいなキャスティングなのだろうが、財津のハチャメチャキャラに比較すれば至極大人しい。

「耳から手〜突っ込んで、奥歯、ガタガタいわせたろか」とか「あほ〜」など、懐かしいギャグが登場するが、時次郎の「俺がこんなに強いのも、当り前田のクラッカー」は、さすがにCM色が強いので、「当りあんかけの時次郎」に変えられており、これもがっかり。

最後の、時次郎と珍念の愁嘆場が映画的といえばいえる見せ場になっている。


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