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助太刀屋助六

2002年、日活+フジテレビ、生田大作「助太刀屋」原作、岡本喜八脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

17才の時、江戸で一旗揚げようと上州の村を出たヤクザの助六(真田広之)は、ひょんなことから、侍の仇討ちを手伝い、その侍から頭を下げられたことに味をしめ、それからは、他人の仇討ちの助太刀をすることを生き甲斐とするようになる。

やがて7年が過ぎ、久しぶりに里心が付いて帰郷した助六は、子供の頃に先立った母親の墓に、誰かが野菊を一本捧げているのに気付く。

母親を捨てたらしき父親の顔さえ知らない助六に、そんな供養等しそうな知り合い等一人もいなかった。

さらに村に到着した助六は異様な状況を目の当たりにする。

村人が全員家に籠っているのか、表には誰一人としていないのだ。

ようやく見つけた人間は、かつて、村のガキ大将を助六と競い合っていた太郎(村田雄浩)であった。
今は、村の番太をしているという。

聞くと、元八州廻りの役人、片倉(仲代達矢)なる侍が、同じ役人仲間の二人を斬ったので、その仇討ちがこの宿場で今正に行われようとしているのだという。

酒屋では、斬られた役人の弟二人(風間トオル、鶴見辰吾)が助太刀を連れてすでに機会を待っている最中。

自分は用なしらしいと気付いた助六だったが、騒ぐ血は押さえきれず、仇の片倉が潜んでいるという昔なじみの桶屋に足を運ぶのだが、会ってみた片倉なる侍は、どうも仇らしく見えなかった。

やがて、見届け役の役人、榊原伊織(岸部一徳)が手下たちを引き連れて宿場町に到着する。

しかし、榊原来訪の真の目的は、地元の生娘を抱くことだった。

15両という支度金を先にもらい、その相手に予定させられていたのは、助六の幼馴染みで、太郎の妹のお仙(鈴木京香)であった。

その後、書痙で右手の自由が効かない片倉は、あっさり仇討ちに会い命を落とすのだが、事情があってその場に立ち会えなかった助六は、ひょんな手がかりから、死んだ片倉が自分の父親だったことに気付くのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「EAST MEETS WEST」(1995)に続く、岡本喜八監督の痛快娯楽時代劇。

いつもながら、西部劇のような設定と雰囲気でテンポ良く見せる。

何となく、三船主演の「赤毛」(1969)を連想させる内容で、24才の青年を演じる真田広之は撮影当時40代前半、ちょっと苦しいが、40代後半で20代を演じた三船よりはまだ見た目若々しいのが救いといえるかも知れない。

その真田よりもさらに年下、つまり20才前後の娘を演じている鈴木京香も、正直、無理を感じるし、全体的に、設定よりは老けた役者さんが多いのが気にならないでもない。

喜八組の常連、天本英世や佐藤允も冒頭でチラリ顔を見せてくれるのは嬉しい限りだが、その老け様には一抹の寂しさも感じる。

又、前半、宿場町がゴーストタウンのような状況であるという辺りからは、明らかに予算が少ない裏事情が透けて見え、やはり、全盛期の頃の喜八監督作品を知っているとつらいものがある。

それでも、真田広之は全力投球といった感じの元気の良い演技を見せてくれるし、全体的にこじんまりとした印象ながら、前作「EAST MEETS WEST」よりは娯楽映画としてまとまっていると思う。

老いたりとはいえ、小林桂樹が桶屋のオヤジとして元気な姿を見せているのにも注目したい。