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セイブ・ザ・ワールド

冒頭のちょっとしたアクションシーンに、ポール・マッカトニーの「007/死ぬのは奴らだ」(1973)の主題歌がかかり、思わずニヤリとさせられる。

スパイもののパロディというのは過去いくつか観て来たが、本作の設定にはちょっと意表をつかれた。

秘密の仕事をしている中年男が、日常では平凡なサラリーマンを演じていて、その息子が結婚する事になり…と、この辺までは何となくありそうな設定のように思える。

ここからが、あれ?…という展開になるのだ。

何故、あれ?と感じるのかというと、通常、スパイもののパターンは「男の単純な願望」、つまり美女とのロマンスというか、ヒロインとの冒険が話の中心に組み込まれているものだからだ。

この作品は、その基本部分をすっかりひっくり返してしまっている。

つまり、スパイものをひねって、新しい「バディ(相棒)もの」に仕立て上げているのだ。

このアイデアが、意外にも面白い。

ロマンスはない代わり、なかなか軽妙なコメディになっているのだ。

随所随所に懐かしいメロディがかかり、どこか懐かしさを感じさせる一方、全体的に嫌みのない楽しいストーリーになっている。

ファミリーの大切さをきちんと謳っている辺りも近年のハリウッド映画らしく、観ていて実に気持がいい。

決して派手な映画ではないのだが、どなたにもお薦めしたい明るい娯楽作。