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茄子アンダルシアの夏

2003年、黒田硫黄原作、高坂希太郎脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

夏のアンダルシア地方、小さな村にある酒場に、一人の青年がテレビを持ってくる。

地元出身のペペ(大泉洋)が参加している自転車レースが間もなく始まるので、それを皆で観ようというのであった。

テーブルには、すでに地元の郷土料理、茄子のアサディジョ漬けが置いてあった。

今日はさらに、ペペの兄の結婚式でもあり、酒場に新婦を伴ってやってきた。

親戚、仲間たち一同が見守る中、テレビに写りだされたペペは、この勝負に勝って賞金を獲得し、自分が育った小さな村から脱出しようと考えていたが、スポンサーである外国のビール会社からは、この試合を最後に首になることを予告されていた。

実は、ペペの兄も、かつてはアマチュアの自転車選手だったのだが、負けず嫌いなペペは、いつも兄の自転車を乗り回しては、兄を追いこすことを目指している内にプロ選手になったような男だった。

故郷の村の酒場の横を通り越した辺りから、ペペはこの試合に全てを賭けてみる決意を固め、思いきってスパートをし、先頭に躍り出るのであったが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

黒田硫黄のコミックを原作とした短かめのアニメ作品。

自転車レースとアンダルシア地方という、ちょっと珍しい素材が使われているが、中身はストレートな青春ものである。

兄とのライバル意識、失恋、狭い故郷から脱出する夢、夢半ばで早くも降り掛かってくる厳しい現実…、青年なら誰でも一度は経験するような物語を、スポーツの緊迫感と共に見事にまとめあげている。

自転車レースをアニメとして描く作業は、それなりの苦労があったと思われる。

メカニックの動きとそれに乗っている人間の動き、さらに何十台もの自転車が固まって走行しているという群集シーン、今まであまり観たことのないシチュエーションのような気がする。(劇場版のクレしんで、自転車レース風のチェイスシーンが描かれていた例はあるが)

自転車レースというのは、チームごとの駆け引きがあるんだということもこの作品で知った。

決して派手なスペクタクル等はないが、じっくりドラマとして楽しめる佳作。