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きょうのできごと

a day on the planet

2003年、益子昌一脚本、行定勲脚本+監督作品。

たった一晩の間に同時進行している三つの場所でのできごとが、淡々としたタッチで平行して描かれている。

話の中核になっているのは京都に引っ越した大学院生の新居に集まった仲間たちの、どこでもありがちなぐだぐだした男女間のドラマ。
特に、かまちという、人に気を使ってばかりいるためにすぐ腹を壊してしまう気の弱い美青年が、騒ぎの元になっていく様が面白い。

一方、賭博捜査の警察のガサ入れから逃げ出そうとしてビルの窓から出たものの壁に挟まれて身動きできなくなった間抜けな店員と、それを救出しようとするレスキュー隊員が、互いに同じ中学の同窓生であることが分かり、互いに意気投合していくドラマ。

さらに、入水自殺しかけていた女子高生が、浜に打ち上げられた巨大な鯨を発見したことから、その救出騒ぎに巻き込まれる内に、次第に生き続けてみようかと考えはじめるようになるドラマが重なっていく。

形こそ違え、三つとも青春ストーリーである。

どの時代の日本映画を取ってみても、一番当たり外れがないジャンルが青春ものではないだろうか。

大抵、どの世代の観客にとっても、身に覚えのあるようなエピソードがオーバーラップするため、つい感情移入できるからだろう。

若い世代の観客なら、まさしく今の自分の姿に重ねるだろうし、大人にとっても、自分の青春時代と重ねてしみじみした気分に浸れる良さがある。

この作品も例外ではない。

特に、大きなドラマがある訳ではないが、自分の青春時代の色々なエピソードと共通項を捜し出せるような雰囲気になっている。

異性にモテない話。
人生に絶望し死にたくなった話。
間抜けな事件を起こしてしまった話。

どれもこれも、誰もが「自分の事だ」と思ってしまうような「よくあるできごと」である。

そして、どんなゴタゴタが起こっても、又、日は昇り「明日がやってくる」。
そして、又、新しい何かが始まる。

くよくよせずに、今日も又、新しい一日を楽しんでいきましょう!

ちらり登場しているチャンバラトリオの座長(実は元々、東映の大部屋役者)南方英二も元気そうで何より。