1987年、プロジェクト・エー+東和プロ、二谷英明製作総指揮、井上ひさし原作、山田信夫脚本、後藤秀司監督作品。
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友人と二人で山にハイキングに出かけた雨森えり子(立花理佐)は、突然の嵐に遭遇し、崖から滑り落ちてしまう。
その時、一匹の子犬がえり子の側に近づき、もう一匹の親犬と共に彼女を救助するのだった。
人間の言葉を理解する親犬はドン松五郎、子犬はそのジュニアであった。
ジュニアは山奥で松五郎の厳しい特訓を経て成長した後、川を渡って人間界に冒険に出かけることになる。
神奈川県虹ケ丘市。
海辺のホテルに遊びに来ていたのは、不動産業を営む権藤(石立鉄男)と息子の毅(沖田浩之)。
傲慢なこの親子が砂浜でサンドバギーを使って遊んでいる最中、おかしな犬に遭遇する。
ジュニアであった。
ジュニアは二人の親子が悪い人間だという事を察知したが、毅の投げたブーメランによって足にケガを負ってしまう。
傷付いたまま逃れたジュニアを救ってくれたのが、昔、山で出会ったえり子だった。
地元の中学に通うえり子は、兄、正太(石黒賢)が経営している「子供ランド夢の国」という遊園施設を、おじいちゃん(千秋実)、ユカ(清水由貴子)、チカ、ミワ、ハナら友人たちと共に手伝っていた。
実は数年前、地所内に温泉が湧き出たためであった。
その温泉を利用してホテルを作ろうと、雨森家の所有地を狙っていたのが権藤だった。
彼とアメリカの大学で経済学を学んで来た息子の毅は、代理人として頼んだ清川(ケーシー高峰)の交渉がうまくいかなかった事を知ると、毅自らが土地の買収に乗り出す事になる。
毅は、ジュニアが見抜いた通り、アメリカ仕込みの汚い手段も辞さない冷血漢であった…。
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「ドン松五郎の生活」(1986)の続編。
東宝特撮を連想させる冒頭の迫力ある嵐や地滑りのシーン(特撮担当は川北紘一氏ら東宝映像)、久石譲氏が手掛けた爽やかなテーマソング等、最初はなかなか期待させるのだが、本編自体は、大人が観るには、実にたあいない勧善懲悪ドラマになってしまっている。
その分、人間文明への風刺を前面に押し出した前作に比較すると、「お子さま」には分かりやすくなっているといえるかも知れない。
分かりやすい悪者が登場し、子供相手に分かりやすい悪さをする。
だから最後は、松五郎ら正義の犬たちが一致団結して彼らを懲らしめる…という流れである。
松五郎とジュニアが、人間の言葉を理解し、ワープロを打つ事さえできる…という特技も、本作ではあまり生かされているように感じられないのも物足りなさを感じる点である。
逃げる悪者たちを大勢の犬たちが追跡するという見せ場は前作と同じだが、今回の工夫は、何と、松五郎ら数匹の有志の犬たちが、ダンプを運転したり、ハングライダーに乗って追跡するという奇想天外なもの。
これらのシーンは、特撮や特殊装置を使って、なかなか巧みに撮られている。
あくまでも、 動物好きな人や幼児向けの「お伽話」または「実写版マンガ」として割切って観るべき作品であろう。
吉幾三、西川のりおなどがゲスト出演している。
