2003年、石井克人原作+脚本+監督作品。
のんびりした地方にある一家族。
認知症気味のおじいさん(我修院達也)が元アニメーターらしきこと、お母さん(手塚理美)がそのおじいさんのアドバイスを受けながら、アニメの原画の仕事に復帰しようとしているという、ちょっと珍しい仕事関係者がいるということ以外は、一見、どこにでもありそうな平凡な家族だが、そんな家族の末っ子幸っちゃん(坂野真弥)には小さな悩みがあった。
しょっちゅう、大きな自分が出現することである。
夢なのか現実なのか、別に何の害もないことだけど、幸っちゃんにとってはかなり憂鬱。
子供の頃、同じように変なものを観たことがあるけど、鉄棒で逆上がりができた途端に消えたと話していたアヤノおじさん(浅野忠信)の言葉を信じ、自分も苦手な逆上がりの練習をしようと決意する。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
物語の基本は、そんな空想力がたくましい少女の話と、恋多き中学生のお兄ちゃん(佐藤貴広)の新しい恋物語が中心となっている。
そんな村にも、オタクとかヤクザとか暴走族といった連中もいるし、幸っちゃんには、東京で売れっ子漫画家のおじさん(轟木一騎)もいて、これ又、ちょっと変な人。
マンガやアニメの感覚で描いた、地方独特ののんびり風景。
一見、何にも起きないようなそんな地方でも、ちょっと奇妙なことは毎日のように起こっている。
そんなちょっとした奇妙なことが面白おかしく描かれている。
「アメリ」のように心証風景を具現化したり、オーバーアクションでギャグを表現したりする部分に、うまくCG処理が使われている所に注目。
かなり丁寧な仕事が施されているのが分かる。
真面目そうなお父さん(三浦友和)は変じゃないのか?
否、お父さんも、客観的に見ると、やっぱりちょっぴり変。
でも、そんな「ちょっぴり変な人」というのが実は「普通の人」なのである。
誰でも、ちょっと見方を変えれば「奇妙な人」に見えるもの。
一番奇妙な存在に見えていたおじさんが、実は一番「家族思いの優しい心の持主」だったことが分かる辺り、うまい!
泣かされました。
一見オタク映画のように見えるが、実は幅広い世代の人に楽しめる名作だと思う。
お薦め!
