1964年、東映東京、梶山季之原作、柳沢類寿+池田雄一脚本、小西通雄監督作品。
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昭和29年、特需景気は終わり、世の中はデフレや暗い事件がまん延していた。
母(ミヤコ蝶々)独り故郷の大阪に残して上京した木塚慶太(藤田まこと)、しかし、進駐軍の放出物資の横流しで一旗揚げようと目論んだもののあえなく失敗。
残ったのは600万の借金だけ。
みやこ楽天地で娼婦の百合(千代郁子)に誘われるが、美子はんと呼んでも良いかとか、明日は死ぬんだとおかしな受け答えばかりする木塚。
翌日、木塚は地蔵を重しの代わりに背負って海で入水自殺しかけるが、そこに現れたのが褌姿の中年男、彼は水に浸かっている木塚を見て「水は冷たいか」と尋ねるのであった。
その中年男は森玄(曽我迺家明蝶)という相場師で、房総沖の水温を調べる事で、北海道の小豆の出来不出来を調べていたのだという。
木塚を家に招いて風呂にまで入らせると、男なら死にたくなる事の一度や二度はある、人が驚くようなどえらい借金してみろと喝を入れるのであった。
森玄と懇意の占師烱斎(吉田義夫)の御神託により、辰巳の方角、つまり、再び東京に舞い戻った木塚は、憧れの銀座のママ井戸美子(三田佳子)と再会を果たすが、文無し状態では相手にされる訳もない。
彼女の紹介でジョージ・高瀬(田中邦衛)から借りた500万を踏み倒したのは自分だからだ。
借金取りから姿を隠すため、百合と再会した木塚は、自分のジャンパーに5000円が入っていたのに気付く。
森玄の好意であった。
感謝の気持と共に奮起した木塚は、何気なく百合から渡されたリンテンションカードなるものが金儲けの種になるらしいと知り、昔なじみで毎朝新聞の記者から詳しい情報を仕入れると、リンテンションカードの売買をはじめ成功する。
井戸美子を社長、自分は専務として会社を始めた木塚は、さらなる金儲けの種を仕入れる。
「赤いダイヤ」つまり小豆相場の事であった…。
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学はないがバイタリティだけは溢れる主人公が、度胸だけで世の中を渡っていく様を描いたド根性経済ドラマとでもいうべきジャンルだろうか?
多少の経済知識がないと良く分からない部分もあるが、藤田まことのあけっぴろげなキャラクターで面白おかしく見せていく。
「図々しい奴」を連想したので調べてみたら、何と、両方とも同じ年にヒットしたテレビドラマの映画化。
「図々しい奴」はテレビ版の主人公が丸井太郎、映画版(1964)が谷啓主演。
本作のテレビ版は「図々しい奴」の後番組で、テレビの方は大辻司郎が主人公を演じたらしい。
おぼろげな記憶だが、確か当時は、この手の商人苦闘ドラマがテレビで流行っていた時期である。
藤田が演ずるキャラクターは植木等の無責任男に近い部分もあるが、ドラマそのものはもう少し現実的に組み立てられている。
勝負師といった感じの森玄、そのライバル松辰(松本染升)、さらに美子もタダモノではない。
皆、腹にイチモツ持つ人物たちばかりで、その辺の駆け引き合戦が面白い。
上田吉二郎、左卜全、ハナ肇など、当時のお馴染みどころだけではなく、原作者梶山季之本人や山口瞳などもちらり登場している。
