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東海道お化け道中

1969年、大映京都、吉田哲郎+浅井昭三郎脚本、安田公義+黒田義之監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

鬼塚と呼ばれる森の中で何者かを待っている勘蔵(山路義人)ら、数人のやくざたち。

近くで塚に祈りを捧げていた塚守の老人甚兵衛(左卜全)を迷惑がって去らせようとするが、老人は「ここでの殺生沙汰は、後々まで祟られるから止めろ」と忠告するのだった。

しかし、そんな言葉には耳をかさず、やくざたちは、邪魔な甚兵衛をその場で斬りつけてしまう。

その後、待ち受けた仁兵衛(玉置一恵)を斬り殺し、持っていた書状を手に入れようとしたヤクザたちであったが、その様子を小さな女の子に見られていたことに気付く、さらにその少女が書状を持っていることに気付いたヤクザたちは少女を追うが、森の中に書状を捨てた少女はどこかへ逃げてしまう。

さらに、先ほど斬ったはずの老人の姿も消えていた。

実は、少女は、塚守甚兵衛の孫娘お美代(古城門昌美)だったのだが、家に帰ってきた彼女は、瀕死の状態で戻っていた甚兵衛から、父親はとある宿に生きているから会いに行けといわれる。

仁兵衛から渡された形見のサイコロを持ち、一人歩き出したお美代だったが、後刻、書状を探していたヤクザたちも、彼女を追うことになる。

途中、少年新太(穂積ペペ)に道を尋ねたお美代だったが、その後、あやうく、ヤクザたちに捕まりそうになる。
それを救ったのが、たまたま通りかかった銀座の百太郎(本郷功次郎)だった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「妖怪百物語」「妖怪大戦争」に次ぐ、大映妖怪シリーズ第三弾。

前二作が妖怪を多数出演させ、そのユニークで愛嬌たっぷりのキャラクターの面白さに主眼を置いた完全な子供向け作品であったのに対し、本作は一応、子供は出てくるものの、内容は妖怪ものというよりも、大人向けの股旅ものなどに近い。

妖怪は出てくるものの、もはや愛嬌はない上に出演シーンも少なく、殺生をくり返して恥じないヤクザを懲らしめる怖い存在として描かれている。

因果応報というか、「戒めを守らないとこうなるぞ!」という、どこか説教臭い感じもある。

これでは、愉快な妖怪を期待して観に来た子供には面白かろうはずもなく、結局シリーズはこの作品を持って終了する。

ひょっとすると、作り手たちは、この作品で、前二作とは趣の違った大人向けの、例えば「大魔神」シリーズのような「特撮怪奇時代劇」を目指そうとしていたのではないだろうか。

しかし、それにしては、怪奇味が子供っぽいし、特撮スペクタクル的にもさほど大きな見せ場もないこともあり、その辺が、全体的にやや中途半端な印象になった原因かも知れない。

とはいえ、後半、結局、勘蔵らに捕まってしまったお美代が、勘蔵にそそのかされて、形見のサイコロを使い丁半博打をやらされてしまう辺り、奇妙なおかしさがある。

訳も分からない設定とはいえ、幼女が壺振りを見て「丁!」とかいうのは、やはり観ていて珍妙である。

やはり、この作品が、どこか特撮時代劇として違和感を感ずるとすれば、「ヤクザ」「博打」「裏切り」など、およそ夢のない素材ばかりを取り上げているためだろう。

そこが異色といえば確かにそうなのだが、大人が観ても、イマイチ娯楽としてノリ切れない部分がある。

戸浦六宏の出演など、特撮作品には珍しい渋いキャスティングなどもあるのだが、全体としては、あまり成功しているとはいえない惜しい作品である。


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