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新日本珍道中西日本の巻

1958年、新東宝、伊藤基彦原案、川内康範+近江俊郎、曲谷守平脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

東京に本社のある新聞社「新東洋タイムズ」では、社長(由利徹)が社員たちに向って、アメリカのホルモンタイムズ社から、日本の美女を5人推薦してくれとの依頼を受けたことを告げていた。

これを実現するため、4名の若手社員を2組に分け、各々、4月1日、鹿児島から二方向に向けて旅行しながら、その各地の美女たちの写真を撮りながら、5月5日までに本社へどちらが先にたどり着くか、競争するイベントを開始すると発表するのだった。

かくして、黒田忠夫(高島忠夫)、赤川三郎(坊屋三郎)コンビと、宇山健(宇津井健)、鮎沢浩(鮎川浩)コンビは、スポンサーから提供されたプリンススカイラインの新車2台に乗って、各々鹿児島を出発する。

黒田、赤川組は、霧島温泉、宮崎、大分別府と進む。

一方、宇山、鮎沢組は、熊本三角港から島原、雲仙、長崎へ。

「新東洋タイムズ」博多支社へは、一足先に到着した宇山、鮎沢組だったが、関門トンネル直前で、黒田、赤川組に追い付かれてしまう。

その後、黒田、赤川組は太平洋側の都市を東上し、宇山、鮎沢組は日本海側と進んで、各地の祭りなどを見物しながら、東京本社を目指すのだった。

果たして、先に到着するのは、どちらのチームか?

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

新東宝創立10周年記念作品。

内容は、日本各地の名所旧跡を紹介するだけの観光映画である。

ドラマらしいドラマはなく、各地で、ちょっとしたコント程度のエピソードが繰り広げられるだけ。
その要所要所に、新東宝ゆかりの人や、当時の人気者たちがチラリとゲスト出演しているのがミソ。

例えば、出発点となる鹿児島に向う飛行機の乗客として、若山富三郎や嵐寛寿郎が登場する。

アラカンは、明治天皇のようなヒゲをはやしており、それを見た坊屋三郎が「恐れ多い!今度は何の戦争ですか?」と問いかけるのは、もちろん、アラカン主演の新東宝のヒットシリーズ「明治天皇と日露大戦争」(1957)「明治大帝と日清戦争」(1958)に引っ掛けたシャレである。

他にも、鹿児島で、2組の車のスタートを実況中継するアナウンサーに舟橋元、霧島温泉の番頭と仲居に、三木のり平と柳家金語楼、途中、宇山、鮎沢組の車を止める警官役に中山昭二、山中温泉の女将に飯田蝶子、番頭に天知茂、「新東洋タイムズ」の専務に南利明、秘書課の富山みどりに三ツ矢歌子、そのおじさんに高田稔る、同じく秘書課の宮崎弓子に大空真弓、その父親に古川緑波など賑やかな顔ぶれがちょっとづつ出演している。

「あきれたぼういず」出身のコメディアン、坊屋三郎は、後にテレビのCFで、外国人相手に「クイントリックスっていってごらん。君、なまっているね」というフレーズで有名になった。

本作では、小西六郎の物まね芸などを披露している。
コンビを組む高島忠夫の方は、女性にもてまくる長身の二枚目というキャラクター。

一方、宇津井健も女性に持てる役だが、途中でチンピラ数人を殴り飛ばすという、ちょっとアクションスター風のキャラクターを演じている。

各所で、いかにもタイアップしたと思われる商品や施設が登場するのが御愛嬌。

今では見かけなったものなどもあり、「懐かしもの」として楽しむこともできるだろう。

あくまでも「お祭り映画」として楽しむ類いの作品だと思う。