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サザエさんの青春

1957年、東宝、長谷川町子原作、笠原良三脚色、青柳信雄監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

磯野家の全員がハイキングに出かける様子なので、くず屋に扮していた空き巣二人組(沢村いき雄、丘寵児)は、チャンスとばかり磯野家に侵入しようとする。

しかし、慌て者の一家は、途中で何かと忘れ物に気付き、一人、二人と引き返してくる。

ようやく一家揃って駅まで到着すると、電車はストライキの真っ最中。

ちょうど車でやってきたマスオさん(小泉博)と二人きりでデートすることにしたサザエさん(江利チエミ)以外の家族は、結局全員戻ってきてしまったので、さすがの空き巣たちもあきれて退散と相成る。

婚約したばかりのサザエさんに、マスオさんは九州へ長期出張しなくてはならなくなったと打ち明ける。
何と、東京へは一月に一回程度しか上京できそうにないのだという。

しかし、それを聞いたサザエさん、むしろ、その間を利用して花嫁修行してみると答えるのだった。

そういう訳でサザエさん、その夜から波平から給料袋、フネからは家計簿を譲り受けて、家事一切を自分が仕切ることになる。

そんな中、ノリ助君(仲代達矢)とミチ子(青山京子)夫妻の間に男の子が誕生する。

育児の練習もしなければと考えたサザエさん、ミチ子に頼んで、生まれたばかりの赤ちゃんを、自分も時々面倒見ることにする。

その後、ひょんな失敗から、無駄金を使ってしまったサザエさんは、ミチ子に相談して、彼女が以前勤めていたデパートで、パートタイムの仕事を始めるのだが、いつものように失敗の連続。

ところが、一人だけ気に入られたお客さまが、実は波平の会社の専務(益田喜頓)の婦人(藤間紫)だったことから、波平は、専務の息子太一(江原達怡)とサザエさんを見合いさせるという約束をしてきてしまう。

又しても、波平の失態で、嫌々ながら、専務家族に伊豆の別荘まで連れて行かれることになり、わざと嫌われてやろうと、ハデに太一と歌い踊ってしまうのだが、たまたま、その場に招待されていたマスオさんがその姿を目撃して逆上してしまう…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

江利チエミ主演の実写版「サザエさん」シリーズ3作目。

前2作は白黒作品だったが、本作からカラーとなって、主題歌も一新している。

木製らしき茶色の古めかしい小田急線の車両や、世田谷区成城付近の土地が、坪3万5000円、サンマ一匹8円といった当時の物価にはさすがに驚かされる。

マスオさんが、いきなり長期出張などとなってしまうのは、シリーズ化を意識した「引っ張り作戦」のためか?

確かに、恋愛を中心とした娘時代のサザエさんの方が、アイドル時代の江利チエミにはピッタリだし、観ている方も明朗青春ものとして楽しめる気がする。

町内中心だった前2作に対し、この作品では、伊豆への旅行など、ロケが登場するのも見所。
美しい富士山などが登場する。

本作で興味深いのは、波平が、20年も連れ添っている自分の女房の名前を忘れていることが発覚すること。
長年、「おい」とか「お前」と呼んでいる内に忘れたらしい。

また、昔、波平に世話になった会社の小使いさんという役で、三木のり平がちらり登場するのだが、彼が持参してきた土産が、九州の「かるかん饅頭」であることから、波平は九州に住んでいたことがわかる。

カツオの通っている小学校は「榎坂学園」というらしい。

有島一郎なども、税務署員としてゲスト出演している。