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サザエさんの婚約旅行

1958年、宝塚映画、長谷川町子原作、笠原良三脚色、青柳信雄監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

婚約者で、東宝商事の九州博多支社へ長期出張中のマスオさん(小泉博)から、仕事の都合で上京できないとの手紙をもらったサザエさん(江利チエミ)は、周囲も心配するほどの落ち込みよう。

たまたま祖父の33回忌の連絡を受けていた波平(藤原釜足)は、これ幸いとばかり、サザエさんと、夏休み中のカツオを、自分の代理として、北九州の若松に住む兄(坂東蓑助)の家に行かせることにする。

サザエさんは、マスオさんの住む博多の近くに行けるとあって、もうウキウキソワソワ。

若松の伯父の家で大阪の叔母(浪花千栄子)と久々に出会ったサザエさんは、そのお転婆振りをきつくたしためられることになる。

しかし、マスオさんが来てくれたので、もう気分は晴れやかになったサザエさん、カツオも同伴で、長崎、雲仙、佐世保、博多と観光旅行してまわる。

しかし、長崎のグラバー邸で出会った、マスオさんの知り合いの宝塚女優、悦子(安西郷子)が凄い美人なので、気掛かりなサザエさんだった。

さらに、近々、マスオさんが大阪へ転勤すると聞いたサザエさん、東京へ帰る電車の途中で大阪に降り、叔母の家である料亭に向い、行儀見習いのため、住み込ませてくれと頼むのだった。

叔母の家には、行儀の良い長女のユリ子(環三千世)、東大受験勉強中の三男ノリ吉(頭師正明)、次女タマ子(竹野マリ)、そして気の弱い亭主の叔父(花菱アチャコ)が住んでいた。

ある日、サザエさんを大阪見物に連れ出した叔父は、偶然にも、若い男性とデートしている最中のユリ子を発見してしまう。

家でのおしとやかな態度とはあまりにかけ離れた娘の姿を知った叔父は、家で叔母と一緒にこんこんとユリ子を説教するが、ユリ子の方は、松原君(山田真二)とは愛しあっている仲であり、結婚したいと言い出す。

それを聞いていたサザエさんは、同じ恋する乙女同士としてユリ子の味方になろうとするのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

江利チエミ主演の実写版「サザエさん」シリーズの4作目。

この回からカラーワイドになり、製作も宝塚映画に変わっている。

勢い、ワイド画面を生かした地方の美しい情景が観光映画風に登場し、かなり大作風の趣になっている。

さらに、営業PR臭も強くなっており、山高産業に勤めていたはずのマスオさんは東宝商事という別会社勤務に変わっており、劇中、博多宝塚劇場(映画館)などがわざとらしく映し出されたりする。

後半は、宝塚映画らしく、大阪の芸人さんや宝塚の舞台が登場する。

1作目で知り合い、すぐに愛しあうようになったサザエさんとマスオさんだが、4作目の本作でもまだ婚約中のままで、結婚には至っていない。

相変わらず、サザエさんのマスオさんへのひた向きな愛情と、その裏返しであるマスオさんに近づく美女たちへの嫉妬心とが微笑ましい。

花菱アチャコは、1作目でも作家の先生として登場しているのだが、地元で作られた作品らしく、より伸びやかに演じているように見える。

この当時、江利チエミもアチャコ同様、吉本興業に所属していたらしい。

テレビ「番頭はんと丁稚どん」などでお馴染みだった、大村崑や佐々十郎といった懐かしい顔ぶれも登場している。

若い恋人どうしを演じる環三千世と山田真二なども、この当時の東宝作品にはお馴染みだった人たちである。