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孔雀王

1988年、フジテレビ+ゴールデン・ハーベスト+砂工房、萩野誠原作、橋本以蔵+関澄一輝脚本、ラン・ナイチョイ監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

チベット高原で行われていた古代遺跡調査所に、突然、不思議な女が出現する。

その女、羅我は、さらに若い少女、アシュラ(グロリア・イップ)を出現させる。

アシュラは火焔球を発射し、調査所の施設やメンバーたちを全滅させてしまう。

その頃、チベットにあるラマ寺院では、高僧ジグメと、久々に帰還した愛弟子コンチェ(ユン・ピョウ)の目の前で、阿修羅像が真っ二つに割れ、中から美しい仏像が出現する。

ジグメは、地獄門を開く鍵を持つために、666年前に封印されたアシュラの復活を知るのだった。

急遽来日したコンチェは、東京、新宿西口の某デパート前で魍魎鬼の姿を発見する。

そのデパート内では、宣伝部の冴子(安田成美)の指揮の元、催し企画「大恐竜展」の準備が進められていたが、次々に起こる不可解な怪奇現象に悩まされていた。

「御祓い」をしてもらおうと宣伝部長(左とん平)が呼び寄せたのは、孔雀(三上博史)と名乗る不思議な青年僧だった。

うさん臭い「拝み屋」と、孔雀の祈祷をバカにした冴子だったが、着替え中のロッカールームに出現した奇怪な鬼の手と、それに立ち向かう孔雀、さらに、突然割り込んできて、鬼との戦いに参戦してきたコンチェの姿を目の当たりに見て、彼女の常識は覆されるのであった。

ディスコで互いの自己紹介をしあった彼ら3人は、踊る若者たちの中に突如出現したアシュラの姿を見つけるが、突然、ライトが落下する事故が発生し、そのドサクサの中でアシュラを見失ってしまう。

法力で、彼女が香港にいると知ったコンチェは、さっそく日本を旅立ち、孔雀の方は、高野山の師匠、慈空(緒形拳)に別れを告げに行く。

その動きに気付いた裏高野の本山では、宮昆羅(リュウ・チャーフィ)をはじめとする12神将たちに、孔雀追撃を命じる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

カンフーやらSFXやら、当時流行りだった要素を盛り沢山に導入したコミックの実写化作品。

ファンタジー系のコミックを、それなりの予算を投じた大作として実写化し始めたのは、この作品辺りからではなかっただろうか。

三上博史、安田成美、緒形拳ら、主要人物以外は、ほとんど香港の役者が演じているし、監督もあちらの人なので、どちらかといえば、香港映画の感覚に近い。

原色を基盤としたけばけばしい照明、全体的にオーバーな演技、直線的なストーリー展開など、マンガ風といってしまえばそれまでだが、全体的に空疎な感覚は否めず、どの登場人物にも何の感情移入も出来ない安っぽさだけが残る作品になっている。

安田成美が演じている役など、驚くほどリアリティがないばかりか、特に物語の展開に必要な役割という感じでもなく、その魅力のなさは、観ていて可哀想なほど。

また、超人的な法力や感覚を持っているはずの孔雀が、群集の中、隣に立っていた冴子が拉致されても、しばらく気付かない…などという辺りの描写も、何だか間抜けで、主役としては情けないことこの上ない。

一方のユン・ピョウの方も、ただ、オチャラけたキャラクターというだけで、魅力に乏しい。

では、カンフーアクションやSFXで見所があるかといえば、これも中途半端というしかなく、全体的に寂しい限り。

魔界の異形のものたちの動きは、真賀里文子さんの手になる人形アニメ技法で撮られているのが、ちょっとマニア的には珍しいが、正直、迫力満点とはいい難い。

バブル時代の映画の典型例の一本だったのかも知れない。