1970年、松竹大船、橋田寿賀子脚本、中村登監督作品。
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突然、付き合っていた大森(入川保則)から求婚されたタイピストの長谷由布子(吉永小百合)は、あまりの急な出来事に返事をためらってしまう。
彼女自身、愛情や結婚というものに対して深く考えたことがなかったからだった。
そんな彼女は、いまだに出会ったことはないが、手紙のやり取りはしている姉が住んでいるオーストラリアに旅行してみることにする。
姉は、5才の時に、当時、マニラにいた両親と戦乱に巻き込まれ、生き別れになっていたのである。
今は、オーストラリアで、フォックス婦人として暮しているらしい。
彼女に会えば、結婚に関する意見も聞けるのではないかと考えた由布子は、大森に事情を話して独り旅立つ。
そんな由布子は、飛行機で隣り合わせた商社マンらしき郷田(森次浩司)から声をかけられる。
シドニーの空港に降り立ち、郷田とはいったん別れた由布子だったが、その後又しても見知らぬ日本人青年から声をかけられることになる。
彼に不信を抱きながらも、姉の住所が割と近くだと聞かされた由布子は、さっそく、姉の家を訪ねるのだが、そこには姉が住んでいたらしい様子はなかった。
そこへ又しても現れた先ほどの青年は、困惑している由布子に近づき、親切にもホテルの世話をしてくれたりする。
偶然、そこのホテルで再会した郷田から、あの青年には注意した方がよいとアドバイスされた由布子だったが、シドニー大学で病理学を学んでいるというその青年、西条直紀(石坂浩二)には、何かしら惹かれるものを感じはじめていた…。
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オーストラリアとマニラを舞台に展開する2時間サスペンス風のドラマ。
日活を辞めた後、独立プロ作品を除けば、吉永小百合さんがはじめて出た他社作品だったようだが、 善くも悪くも、あくまでも小百合さん主演映画…という以外には、これといって映画的な見所は少ない。
彼女の相手役となる石坂浩二や森次浩司(「ウルトラセブン」の主役モロボシダン)も、共にテレビの人気者ではあったが、映画の方では当時はまだかけ出しの二枚目俳優といった所だろう。
後有名なところでは香山美子が出ているくらいで、全編通しても、ほとんど、数人の俳優しか登場しない。
ちなみに、スチュワーデス役で登場する尾崎奈々という人は、当時、松竹のGS映画で良くヒロインを演じていた人である。
ストーリーは、観光案内風のロケシーンを背景に、何となく通俗サスペンスドラマが重なっているだけという印象しかなく、正直、映画としては安っぽい。
いかにも、低予算作品そのものといった感じである。
一応、橋田寿賀子脚本だけに、戦争に翻弄された薄幸の女性の悲劇…といったテーマらしきものはうかがえるが、それも何となくわざとらしく、特に胸を打つというほどのものにはなっていない。
感動もあくまでも、テレビドラマレベルといった所。
どちらかというと、女性向けの内容ではないだろうか。
それでも、当時の小百合さんは美しさの絶頂期といって良いし、ミニスカート姿の他、シャワーシーンや、ちょっときわどいシーンなどもあり、サユリストたちにとっても気になる作品ではないだろうか。
