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カラテ大戦争

1978年、山協映画+松竹、大山倍達+梶原一騎原作、神波史男脚本、南部英夫脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

中国、少林寺に生まれた少林拳は、タイに下りムエタイとなり、香港ではカンフー、そして日本に渡来してカラテとなった。よって、ムエタイ、カンフー、カラテは、同じ幹から出た3本の枝のようなものであり、そのどの流派もが、自分の技こそ世界一だと自負していた。

日本の極限流カラテは、寸止めなどという従来の規則を外して戦うがゆえに、他のカラテ流派からは異端児扱いされていた。

極限流の実力者の一人だった大神達矢(真樹日佐夫)は、道場主たる東坊徹源(大滝秀治)の娘、礼子(夏樹陽子)が、ホステスとして働いていた店で、酔客の覆面レスラーにしつこく迫られている彼女を守るつもりが過剰防衛となり、相手を傷つけてしまう。
その行為は他流派からの格好の攻撃材料とされてしまったので、責任を感じた彼は道場を去ることとなる。

それから3年間、5回も転々と職を変えていた大神は、今はタクシー運転手として働いていたのだが、ある夜、偶然にも、帰宅する礼子を客として拾うことになる。

その後、道場に、政治家、相馬勇人(金子信雄)の訪問を受けた東坊徹源は、日本空手協会の荒木(安部徹)、安川(田島義文)との面会をセッティングされ、今後、香港やタイに空手の支部を作るに当り、空手の実力を向こうの人間に知らしめることができるような先兵を出して欲しいと依頼される。

実は、相馬の選挙資金の大部分は荒木の所から流れており、日空協の海外発展をバックアップする道具としての極限流への誘いだったのだが、そうとは知らない東坊は、今こそ、極限流の実力を海外へ知らしめるチャンスと感じ、礼子から勧められた大神の道場復帰を許し、彼に、香港、タイへの勝負遠征を打診するのだった。

そうした大神の動きを注視している女性がいた。
香港の歌手として日本で歌っていた陳鈴蘭(白氷氷)であった。

彼女は、昔、カンフーをやっていた黄(藤村有弘)を道場に潜り込ませ、大神の技の弱点を探らせるのだった。

やがて、香港に降り立った大神は、飛行機内で知り合った鈴蘭に誘い出され、香港カンフーの使い手たちと戦うはめになって行く…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

劇画原作者で極真空手の実力者でもある真樹日佐夫本人が主役を演ずる空手アクション映画。

ドラマはあってなきがようなもので、日本の空手家が香港とタイで、各々、カンフーやムエタイの使い手たちと戦うというだけのもの。

特に、アクション映画として、主人公を格好よく見せようというような工夫や、ドラマ的に盛り上げようというような気配はほとんど見られず、ひたすら、地元のもやしのように細くて弱そうな若者たちを、結構体格のよい主人公が軽くもんでやっているようにしか見えない。

実際の格闘をそのまま写したものを映画として観ると、どうしてもスローモーに見えてしまうのだが、本作の主人公の動きもそういう感じにしか見えないのだ。

ストーリー性も弱いので、アクション場面になっても緊迫感もなく、全体的に単調。

アクション映画としては、敵が全員、弱そうにしか見えないのは致命的だろう。

歌手として「カンフーエレジー」なる歌を劇中で披露している白氷氷は、真樹日佐夫氏の実兄で、「巨人の星」「あしたのジョ−」の原作者としても名高い梶原一騎氏の奥さんだった人で、その後、故国の台湾で悲惨な事件に巻き込まれ、ワイドショーでも騒がれた人である。

ヒロイン役を演ずる夏樹陽子は、この当時、本当にきれいで、劇中ではヌードまで披露している。

いつもは「デタラメ中国語」が持ちネタだった藤村有弘が、本作では本当の中国語をしゃべっているのも珍しい。

この作品、違和感があるとすれば、主人公大神達也は日本人で、劇中でも日本語をしゃべっているのに、全編、明らかに声優の吹き替えに変えられているところである。

よって、大神は妙に美声で、セリフ回しも巧い。