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ギターを持った渡り鳥

1959年、日活、小川英原作、山崎巌+原健三郎脚本、斉藤武市監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

草を積んだ荷車に乗って北海道へやってきた風来坊風の男、滝伸次(小林旭)。

夜の函館、バー「ビオン」では、アコーディオン弾きの流しサブ(野呂圭介)が、酔ったロシア人船員たちから絡まれていた。

それを助けたのがカウンターに座っていた滝。

そんな滝を一目で惚れ込んだ店のママ(渡辺美佐子)は、彼を地元の元締め秋津(金子信雄)に紹介する。

自分の元で仕事を手伝わないかと誘われた滝だったが、あっさりそれを断わる。

翌日、野宿のつもりで小舟の中で寝ていた滝だったが、知らずに近づいたモーターボートに慌てた滝は海に落ちてしまう。

モーターボートを運転していたのは、偶然にも、秋津の一人娘由紀(朝丘ルリ子)であった。

彼女は、父親の本当の仕事を知らない様子のお嬢様であった。

その夜も地元のバーでギターを弾いて流していた滝は、秋津の身内である地元の流したちと諍いを起こしてしまい、結局、トラブルをさけるために秋津の身内になることにする。

秋津は、観光客があまり立ち寄らない港地区に、アミューズメントセンターを建設しようと考えていたのだが、どうしても立ち退かない家があって困っているという。

500万の借金の返済期日も過ぎているというので、滝がその家に行ってみると、そこは、秋津の妹澄子(中原早苗)とその亭主、庄司(木浦佑三)の船会社「丸庄」であった。

二人の結婚に反対していた兄秋津の嫌がらせでもあったのだ。

あまりにあこぎな真似をする秋津に文句を付けに帰ってきた滝は、神戸の田口組からやってきたというジョージ(宍戸錠)なる無気味な男と出会う。ジョージは滝の顔にうっすら見覚えがあった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ギターを持って全国を旅する流しの滝伸次を主人公にした 「渡り鳥シリーズ」の、記念すべき第一作である。

酒に強く、ギターやピアノも歌も巧い上に拳銃の名手。
ダイスの腕はプロ並で、度胸もあるし腕っぷしも強が、曲ったことは大嫌い。
しかし、子供には優しいし、女にはもてまくる…、滝伸次のキャラクターがほぼこの作品で固まる。

ライバルとして登場する宍戸錠、踊子として登場する白木マリ、お嬢様ヒロイン役浅丘ルリ子、悪役金子信雄などといった面々も全て出そろっている。

通俗活劇といってしまえばそれまでだが、本作ではまだ、後の作品のように無国籍かつ荒唐無稽タッチにはなっていない。

地方にはびこる悪を正して去って行く風来坊アクション…といったところであろうか。

この作品では、滝の過去が多少語られている。

彼が何故、拳銃の名手なのかといった疑問は、これで説明されている。

荒唐無稽さが少ない分、今観ると、若干地味な印象もないではないが、若い小林旭や浅丘ルリ子の輝くような若さには、やっぱり惹き付けられるものがある。

どの画面も抜けるような青空で、地方の美しい景観も、それをバックにした役者たちも皆引き立っている。

いかにも、日本映画全盛時代の勢いを感じさせる魅力を持った作品だといえよう。