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1963年、日活、倉本聡+斉藤耕一脚本、山崎徳次郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

男子高の高尾高校には30有余年、学校で一番勇敢な三年生のみがかぶることを許される「勇者の帽子」というものが代々受け継がれてきていた。

現在の所有者は、2週間火葬場に寝泊まりしてみせたというクリーニング屋の息子、古山(植頭実)で、彼は、その「勇者の帽子」をかぶっているおかげで、全校生徒たちから頭を下げられる立場であった。

東京から転校してきた山内(山内賢)は、そういう下らない同校の伝統なるものを軽蔑していた。

そうした山内の生意気な態度は、古山の仲間たちにも敏感に察知され、山内は、彼らから度々嫌がらせを受けていたのだが、唯独り、同級生の船田一夫(舟木一夫)だけは孤立する山内をかばってやるのだった。

その船田は、多摩女学院の勝又智恵子(松原智恵子)と清らかな付き合いをする仲だったが、閉鎖的な地方ではそうした二人の仲をやっかむ声もあった。

市会議員でレストラン「ナポリ」のオーナーでもある入山(殿山泰司)の娘で、智恵子の同級生でもある三枝(田代みどり)もその一人。

そんな「ナポリ」のショーウィンドーには、三枝が赤面するような派手なヌードのペンキ絵が描かれることになる。

入山と癒着していた隅田興業の隅田(安部徹)の発案であった。

古山は、今年の「勇者の証」の試験は、このヌード絵に洋服を描くことにすると発表する。

ところが、その直後、古山は自宅で帽子を紛失してしまう。

実は、父親(桂小金治)がおせっかいにも洗濯してみたらボロボロになってしまったので、そのまま捨ててしまったのであった。

やがて、どうした訳か、そのボロ帽子が智恵子のクラスの教壇で見つかる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「高校三年生」の大ヒットで一躍人気アイドルに伸し上がった元祖御三家の一人、舟木一夫主演のアイドル映画。(御三家の残り二人は、橋幸夫と西郷輝彦)

とはいっても、舟木本人は多忙の為か出演場面も限られており、一応、山内賢の方が主演のような形となっているのだが、正直、山内の出演シーンもそう多くなく、あえていえば、 特定の主役を持たない学園ドラマとでもいった方が良いかも知れない。

封建的な気風が残る地方都市の学園が舞台。
山内の姉(九里千春)は、周囲から色眼鏡で見られがちなバーのホステス。
恋愛御法度というような古臭い校風に楯突く若い男女…とくれば、どうしても石坂洋次郎の名作「青い山脈」を思い出さずには置かれない。

明らかに、本作は「青い山脈」のバリエーションなのである。

ストーリー全体は、帽子と一匹の犬をめぐって、コミカルに展開して行くので、それなりに楽しい作品になっている。

まだ、中学生くらいにしか見えない堺正章、さらに、かまやつひろしまで高校生役で出演している。

さらに、興味深いのは、テレビの人気番組だった「アベック歌合戦」に、舟木と松原が出演するというシーンがあることである。

当然、司会はトニー谷で、「お宅ら二人の関係は?」と問いかけ、「恋人同士でございます」と二人が答えたり、会話を全てリズムに合わせて進行するのだが、これって、今考えると「ラップ」ではないのか?

さらに、由利徹が特撮シーンに登場していたり、コメディ担当のマチャアキがアニメ表現と出会っていたり、不思議なワイプの仕方が登場するなど、結構、技術的な見所も多い。

先生役で谷村昌彦や清川虹子、智恵子の父親役で佐野浅夫、ちょい役で安川実(ミッキー安川)なども顔を見せている。