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ドン松五郎の生活

1986年、東和プロモーション+プロジェクト・エー、井上ひさし原作、中田新一脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

両親(前田吟、名取裕子)、弟浩一(中嶋義実)と一緒に山に遊びに来ていた小学生の松沢圭子(西村知美)は、不思議な声に導かれるまま森の中にさまよい込むが、落雷を受けた直後、助けを呼ぶ声を聞き、川の岩場に立ちすくんでいた子犬を見つけて助ける。

ドン松五郎と名付けられたその犬はすくすく成長し、やがて中学生になった圭子に付いて、学校にまで来るようになる。

小説家を目指しながらも売れない圭子の父親は、生活の糧を、テレビの「奥様ワイドショー」の構成作家として得ていた。

そんな彼のワープロに、「わがはいはいぬである、名前はドン松五郎…」と誰かが打ち込み始める。

誰かのいたずらだと思い込んでいた彼は、家族全員が1階にいるある夜、二階で誰かがピアノを弾いている音を聞く。

怪んで、全員で様子を見に行くと、何と、犬の松五郎がピアノを弾いているではないか。

すぐに、ワープロの犯人も松五郎の仕業と悟った母親は、ネタに困っていたワイドショーに松五郎を出してみることにする。

圭子と一緒に出演した松五郎のワープロ打ちは大反響。

一躍、天才犬松五郎は、売れっ子スターに伸し上がるのだが、松五郎の遊び友だちで、隣のお婆さん(岡田嘉子)が買っている犬のキングは、何故かその日から機嫌が悪くなるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

犬は元々、人間の会話を全て理解できる…という発想に基づいた風刺ファンタジー作品。

企画に二谷英明、企画協力に青島幸男など、意外な名前を発見できる作品である。

少女とペットの愛情物語が核にあり、そのペットが一躍マスコミにもてはやされて、CMなどに引っ張りだこになったり、その存在を知った悪い大人たちがそのペットを手に入れようと暗躍をはじめたり、後半の追いかけっこにアドバルーンが登場するなど、どこかしら後年の「REX 恐竜物語」(1993)に似ているところがある。

さらに、後半、町中の犬が結集して追跡劇を展開するところなどは、ディズニーの「101匹ワンちゃん大行進」や、東映動画の「わんわん忠臣蔵」を連想させたりする。

たあいない子供向け映画といってしまえばそれまでだが、割と丁寧に撮られた作品だと思う。

犬たちも良く調教されている。

西村知美ちゃんは初々しいだけではなく真剣に演技をしており、好感が持てる。

ハナ肇、塩沢トキ、藤岡琢也、小沢英太郎、石橋蓮司、高城淳一、前田武彦、ミッキー安川など、結構、渋い脇役陣も見のがせない。

最後の方にチラリと登場する神田隆と岡田嘉子は、これが最後の出演作だったのではないだろうか。

ハナ肇はこの当時、年齢的にさすがに元気がなさそうに見えるのが寂しいが、一時期「無法松の一生」のパロディ版「松五郎」役や、「アッと驚く」為五郎で有名だった人だけに、犬の「松五郎」との共演もシャレのつもりだったのだろう。

ファミリー映画としては無難な出来で、子供にも楽しめる作品になっていると思う。