TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

QLOOKアクセス解析アナスタシア

1997年、アメリカ、ドン・ブルース+ゲイリー・ゴールドマン監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

1916年、ロマノフ家がロシアを支配していた時代。

孫娘のアナスタシアに、子守唄が流れるオルゴールのプレゼントを渡す祖母で皇后のアレキサンドラ。

しかし、怪僧ラスプーチンの邪心によって呪われたロマノフ朝は終焉を迎える。
ロシア革命の勃発である。

宮殿に押し寄せてきた民衆から守ろうと、アナスタシアたちを秘密の隠し戸から逃してやったのは、小間使いの少年、ディミトリーだった。

列車でロシアから逃げ出そうとするアレキサンドラと、駅で生き別れてしまった少女アナスタシア。

それから十年の歳月が流れ、ロシアでは、皇帝ニコライ一家は全員殺されたが、今でも末娘のアナスタシアだけはどこかで生きているという噂が庶民の間で囁かれていた。

大人に成長していたディミトリーは、アナスタシアを見つけてパリに住む皇后に会わせれば多額の褒賞がもらえると知り、何とか替え玉を見つけようと、友人ウラジミールと一緒に、アナスタシアのそっくりさんを見つけるべくオーディションをサンペテルスブルグで開いていた。

その頃、チリメンコフの孤児院から、一人の女性が旅立とうとしていた。

子供の頃、記憶をなくして、街をさまよっていた所を拾われてここで育てられていたアーニャだった。

彼女は、道で見つけた野良犬のフーカに導かれるまま、サンペテルスブルグへ向う。

アーニャと出会ったディミトリーは、彼女があまりにもアナスタシアにそっくりなので驚き、そのまま、彼女を替え玉として教育しながら、パリの皇后の元へ連れて行くことにする。

その頃、白いコウモリ、バルトークによって、地獄で目覚めさせられたラスプーチンは、アーニャこそ、アナスタシアその人であることに気付き、ロマノフ家への呪を完成させるべく、彼女の旅を魔力で妨害しようとするのであった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

一部で知られている伝承を、ミュージカル仕立てでアニメ化した作品。

往年のディズニー作品を思わせる流麗な動きと3DCG技法を組み合わせ、華麗な画面に仕立て上げている。

これが、50年ほど昔の作品だと考えれば、賞賛に値する出来だと思う。

しかし、実際はわりと最近、1997年の作品。

とするならば、何でこんなに古臭いスタイルなの?…と思わないではいられない。

人物の動きは、実写をそのままトレースしたのではないかと思えるくらい適格なデッサンによるフルアニメ。

それを、ロング気味に撮っている(というか、描いている)全体的な構図。

正に、堂々たる『往年の大作風のスタイル』なのだが、正直今風ではない。

今風といえば、やたらに、アクション映画風の見せ場が連続しているのも特長なのだが、アニメと分かって観ているので、実写ほどの迫力もサスペンスもイマイチ感じられない。

ストーリーの骨格は、わりと現実的なお話なのに、無理矢理、ラスプーチンが仕掛けるファンタジックな要素が混入していたり、昔風の動物キャラが当たり前のように登場するのにも、ちょっと抵抗がある。

全体的にものすごく手間ひまをかけている割に、基本的な感覚が古いのである。

だから、全体的にそう悪くはない…否、アニメとしての完成度はものすごく高いと感じられるのに、さほど夢中になれるような要素もないといった印象しか残らないのだ。

テレビアニメを中心に、絶えずスタッフたちの新陳代謝をくり返し、常に新しい感覚のアニメを見慣れてきている日本人には、特にそう感じられるのではないだろうか。

本作が今の子供にとって面白いかどうかは疑問だが、あくまでも、アニメ好きの大人が観る参考作品と考えれば、見るべき所は多い作品だとは思う。