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夜明けの二人

1968年、松竹、桜井義久脚本、野村芳太郎脚本+監督作品。

カメラマン助手の中野秀夫(橋幸夫)は、ガールフレンドのチイコとのデートで、自分はこの人と結婚することにしたと、いきなり藤倉という男性を紹介される。

さらに、その藤倉から、ハワイからやってきたオードリー三崎令子(黛ジュン)を連れているのだが、その相手をしてくれないかと虫のいい話を持ちかけられる。

頭に来て、一旦はその場から去りかけた秀夫であったが、ひとりぼっちで右も左もわからないような令子をほっておけず、結局、彼女をビアホールやゴーゴーバーに連れて行くことになる。

それから半年後、カメラマン冬川(中村八大)に同行してハワイに行くことになったと、料亭を営む祖父虎太郎(花沢徳衛)に報告する秀夫だったが、何故か、祖父はハワイに住む自分の弟、辰次郎(伴淳三郎)の悪口をいい、ハワイ行きにも執拗に反対するのだった。

ハワイに到着した秀夫は、スティーブン坂田(長門裕之)から、名所旧跡を案内してもらいながら、日本人移民の長い苦労の歴史を学ぶ。

その後、帰国するため、空港に戻った秀夫は、自分が航空券をどこかに置き忘れてきたことに気付き、冬川だけが先に帰国することになる。

どうしても航空券が見つからず途方に暮れる秀夫に声をかけてくれたのは、クインズ・サーフで演奏していたエレキバンドのリーダー(寺内タケシ)と、叔母が小さなホテルを経営しているという日系三世のナンシー(生田悦子)だった。

その後、航空券は、日本航空の係員(香山美子)から再発行されることを知らされるが、秀夫はナンシーの手伝いとしてしばらくハワイに残ると告げる。

さらに、秀夫は、ひょんなことから、半年前に出会っていたオードリーと再会するのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ハワイ日本人移民百年祭記念作品。

基本的には、当時アイドル歌手だった橋幸夫と黛ジュンを起用した歌謡映画仕立てで、本質的にはハワイの観光案内といった趣の作品。
特に前半部は、完全な名所めぐりといった印象になっている。

劇中、橋幸夫の「恋をするなら」とか、黛ジュンの当時のヒット曲が挿入されている。

歌の巧いボンボン役橋幸夫が、ハワイで何人もの女性からモテてモテて…という、何となく、加山雄三の「ハワイの若大将」(1963)を彷彿とさせる展開なのだが、本作で橋幸夫の恋のライバルになるのは、フランク(竹脇無我)とスタンレー(山口崇)の二人。

主役の橋を含め、男性陣が、全員、体育会系ではなく、文系っぽいのが特長か?
それでも、一応、橋のアクションシーンが用意されていたりする。

橋以外の若手俳優たちは、皆、大体三世の役なので、全員、片言の日本語で話しているのが、ちょっとおかしくもある。

劇中に登場する中村八大氏は、本作の音楽も担当しているのだが、その友情出演ということなのか、永六輔氏も日航のサービス係として、ちらり登場しているし、現役時代のジェシー高見山が、わざとらしく挨拶をするシーンもある。

後半、ドラマがちょっとごたごたし過ぎ、すっきりとしたエンディングではないのも、松竹らしいといえばいえるかも知れない。