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1954年、松竹大船、白川渥原作、沢村勉脚本、野村芳太郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

テニス部で活躍している高校生、新庄翠(美空ひばり)は、貨物船の航海長である父親(笠智衆)、最近、ちょっと太ってきたため「皇后様」と呼ばれている母親(三宅邦子)、父親の妹で、土屋(永井達郎)と結婚したものの、その後、別れて戻ってきた節子(桂木洋子)おばさん、それと、弟の誠(水原常春)の5人家族。

翠のテニス部の先生である羽田新平(大木実)は、土屋と親友であることもあり、何かと、節子のことも気にかけているのだが、節子の方は、羽田のことが気になっている。
本当は、互いに好きあっているのだが、言い出せないでいるのだった。

ある日、翠と、テニス部のコンビでボーイフレンドでもある戸川雄一(田浦正巳)が、渋谷の蕎麦屋でデートする情報を得た節子は、こっそり様子をうかがいに行くのだが、二人の会話はたあいないことばかり。

いっそのこと、カレシを自宅に呼んではっきりした付き合いをさせた方が良いのではということになり、戸川を家に招いたまでは良かったが、弟の誠がちょっかいを出すやら、気をきかせて映画に出かけたつもりが、濃厚なラブシーンを観て、逆に気が気ではなくなって帰宅してきた節子と母などで、二人のデートはメチャメチャ。

久しぶりに、航海から帰宅した父親を挟んで、家族円満のような新庄家であったが、後日、翠が大阪へテニスの試合に出かけたことがかっけとなり、思わぬ波瀾が起きることになる。

又しても、数日の航海に出た父親と出会うため、神戸の船員寮に出向いた翠は、父親がその寮ではなく、とあるアパートを定宿としていることを知り、そこへ行ってみると、何とそこには、見知らぬ女性が住んでいた。

あの温厚で誠実そうな父親が浮気していたのである。

その事実に衝撃を受けた翠は、その後の戸川との神戸でのデートも上の空となり、あげくの果てに、その不審な行動を見とがめられた二人は、警察署に連行されることになるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

当時、高校生だった美空ひばり主演のホームドラマ。
さすがに「スポーツ物」というほど、テニスのシーンは多くはないが、お嬢のテニスウェア姿は必見。

翠と戸川との爽やかな青春カップル。

羽田と節子との曖昧なカップル。

そして、かつて熱烈な恋愛結婚で結ばれたはずの熟練夫婦の裏の顔…と三世代の恋愛模様を平行して描いている。

父親の浮気を知った娘が動揺し、一時的な男性不信になる…という展開は平凡だが、この作品では、無邪気な弟、誠(中学生くらい)の存在がクッション役となり、ドロドロになりがちの話をうまく処理している。

本作での笠智衆も、ちょっと珍しい役柄なのではないだろうか。

翠はスポーツ焼けで「南洋美人」というあだ名らしいが、当時のひばりはそんな色黒には見えないし、母親役の三宅邦子も「太っている」ようには見えないが、その辺は「御愛嬌」というべきだろう。

ひばりが「ローマの休日」の大きなポスターの前に立ったり、時代を感じさせるシーンもあるが、映画好きとして気になるのは、節子と母親が観ていた映画のこと。

最初は「西部劇」といっていたが、画面上は、男女の大胆な恋愛映画のようだし、話している言葉も英語ではなくフランス語のようだった。

女性のヌードまで登場し、こんな映画が当時公開されていたのかと好奇心を掻き立てられた。
一体、何という作品だったのだろう?

ちなみに、羽田の大阪に住む従兄弟として北原三枝が登場する。