1956年、東宝、長谷川町子原作、笠原良三脚本、青柳信雄監督作品。
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高校を出たばかりのサザエさん(江利チエミ)は、いつも、ジャズばかり歌っているお転婆娘。
今日も、近所のお兄さん(ダークダックス)と一緒に、西部劇風のメキシコのバーで歌っているつもり。
嫁入り前のお年頃だというのに、弟のカツオ(小畑やすし)とプロレスごっこまでやってしまうので、母、舟(清川虹子)と父、波平(藤原釜足)もさすがにあきれ顔。
そんなサザエさんの家に、毎朝新聞に勤務しているいとこのノリ助君(仲代達矢)が、訳あって居候しに来ることになる。
サザエさんの方はといえば、ある日「女性クラブ」という出版社から入社合格の知らせが届いたと大張りきり。
ところが、初出社の日、おっちょこちょいのサザエさんが目的のビルの中で入った部屋は、山高産業という別の会社だった。
しかし、そこの社員のフグ田氏(小泉博)が、親切にも、サザエさんを出版社のある部屋へ案内してくれる。
同社の貝原さん(若山セツ子)の推薦もあって入社できた手前、気難しいという小説家、神田大六(花菱アチャコ)の家に原稿を取りに、張り切って出かけたサザエさんだったが、途中、とんでもないハプニングの末、大失敗をしてしまい、編集長(丘寵児)から即日首を言い渡されてしまう。
しょげ返って帰りのバスを待っていたサザエさんに声をかけてくれたのは、又しても、あのフグ田君であった。
彼は、馴染みの甘味屋にサザエさんを連れて行くと、彼女の話を聞いて、それでは、知り合いの探偵社を紹介してやると言い出す。
大木秘密探偵社に勤めはじめたサザエさん、最初の依頼人が持ち込んだ調査依頼は、何と、ノリ助君の素行調査であった。
所長(森川信)に、ノリ助君との関係を打ち明けたサザエさんは、ミステリー好きだったこともあり、自ら志願して、ノリ助君の素行調査を開始するのだが、彼女は老婆に変装していた…。
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国民的人気マンガ「サザエさん」の実写映画版、演じるのは、あまりのハマリ役となり、後にはテレビでも演じることになる江利チエミ。
結婚前の初々しいサザエさんを、こちらもアイドル時代バリバリの初々しい江利チエミが元気に演じ切っている。
花弁のように白く細い三角襟が首の周囲に開いた形の独特のシャツに、黒いボレロにエプロン姿という、初期のサザエさんと全く同じ衣装とあの独特の髪型だけではなく、その表情、ポーズの取り方まで、マンガそっくりと思わせる雰囲気がある。
ちなみに、甘味屋の女給およしを演じているのは白川由美、老婆に変装したサザエさんが、尾行の途中に立ち寄るおでん屋の女将は塩沢登代路(とき)、主人は沢村いき雄、磯野家に見合いの話を持ってくる波平の先輩が柳家金語楼、そして、ワカメを演じているのは松島トモ子である。
クライマックスのクリスマスパーティの席で、松島トモ子演ずるワカメは、お澄ましな振り付けで「ワカメの歌」を歌ってみせる。
27才という設定のノリ助を演じる仲代達矢、優しいフグ田君を演じる小泉博、両名とも、甘い美青年の時代である。
全体的には、低予算のホームドラマのような雰囲気であるが、歌あり、笑いあり、恋ありという流れは、正にアイドル歌謡映画の見本のような作り。
明るく楽しいその作風が大衆に受けたからか、このシリーズは、この後10本近くも作られることになる。
