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雷電

1959年、新東宝、尾崎士郎原作、杉本彰脚本、中川信夫脚本+監督作品。

「続雷電」との二部作になっている。

天明3年、浅間山の麓の庄屋、上原(高松政雄)の家に世話になりながら、相撲を学んでいた貧しい農民の子、太郎吉(宇津井健)は、馬のアオを連れて歩いている途中で、浅間山大噴火に遭遇する。

直前に異変を察知し、逃げ出したアオを追う内に、助けを呼ぶ声を聞いた太郎吉は、谷に落ちていた小諸の駄菓子屋の娘おきん(北沢典子)を助け出す。

目の不自由な母親と、足の不自由な父親が住む実家の様子を見に行った太郎吉は、家は半壊していたものの、二人が何とか無事だったことを知り喜ぶ。

その頃、上原家では、いつもここを定宿としている江戸の浦風部屋の面々を迎えていた。

浦風(林幹)は、白根山、つまり、太郎吉の才能に目を付けていたのである。

上原家の納屋に一晩泊めてもらっていたおきんは、途中までおぶって送ってきてくれた太郎吉のことをすっかり好きになってしまう。

太郎吉も又、愛らしいおきんのことが好きになっていた。

しかし、そのおきんは、母親が借金を払えないばかりに女郎屋に売られて行く運命だった。

さらに、天命の大飢饉により暴徒と化し、強奪の限りをつくしていた農民一揆の群れが、上原家近辺に接近しようとしていた。

日頃の恩返しのためにと、太郎吉と浦風部屋の江戸嵐(舟橋元)は、千曲川を渡って来ようとする、農民一揆の群れと対峙するのだが、あろうことか、その一揆の群集の中に父親の姿を見つける。

家を壊すと脅かされ、渋々仲間になったらしい。

農民同士の無益な戦いに嫌気がさした太郎吉は、父親を背負って、その乱闘騒ぎから逃げ出して実家に戻るのだが、途中、父親の知り合いらしき、一木左門太(中村虎彦)という浪人者に出会う。

無事、実家に戻った太郎吉は、貧しくても、親子水入らずで暮すのが一番で、相撲なんかはあきらめたと宣言するのだが、ある日、江戸へ奉公に行くことになったというおきんの姿を見て、又、気持がぐらつくのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「スーパージャイアンツ」で、スーパーヒーローを演じた宇津井健が、江戸時代の名大関、雷電為衛門に扮する大作で、芸術祭参加作品でもある。

ちなみに、宇津井健には、デビュー直後に「レスリング・チャンピオン 日本の虎 」(1954)という作品もあり、若い頃は「肉体派俳優」のイメージがあったのかも知れない。

この作品でも、大半は廻し姿で、けいこや試合をしている。

基本的には、分かりやすいラブストーリーである。

典型的な悪役(江見俊太郎)が登場し、二人の恋路を邪魔する…という筋立て。

特に、この前編の方は、冒頭の浅間山噴火と農民一揆という、天命年間のスペクタクルを二つ挿入していることもあり、かなり見ごたえのある内容になっている。

エキストラも多数出演しており、かなり予算も注ぎ込んでいるように見える。