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水戸黄門

1957年、東映京都、直木三十五原作、比佐芳武脚本、佐々木康監督作品。

諸国漫遊の途中、板橋を通りかかった水戸黄門(月形龍之介)、助さん(東千代之介)、格さん(大川橋蔵)一行は、農民が丹誠こめた田んぼを荒し回っている野犬の姿を目にする。

聞けば、将軍綱吉(片岡千恵蔵)が出した「生類憐みの令」に困った江戸の住民たちが、近郊のここらに犬を捨てに来るためらしい。

さっそく黄門は、格さんに犬の皮を剥がせ、それを「自分が下手人なので処分されたい」という文と共に将軍の元に贈らせる。

桂昌院(入江たか子)と隆光(水野浩)の甘言に惑わされていた綱吉は、老公の諌めの意味を即座に解し、生類憐れみを止めることになる。

その後、黄門一行は、江戸上屋敷に向う越前高田藩26万石の筆頭家老、小栗美作(薄田研二)の行列に遭遇する。

小栗は、同じく高田藩の二番家老、荻田主馬(大河内伝次郎)から、幕府評定所宛に、自らの日頃の悪行を直訴されたため、その裁定が下る前に、事態を収集せんと馳せ参じてきたのであった。

小栗は、柳沢出羽守(進藤英太郎)、藤井紋太夫(加賀邦男)ら幕臣に取り入るため、国元から「賄賂」として、三人の娘を連れてきていたが、そのうちの一人は、野上主水(大友柳太郎)の許嫁、お縫(長谷川裕見子)であった。

無理矢理破談にされ、納得のいかない主水は、お縫を救い出そうとするが、小栗の一味に捕まり投獄されてしまう。

「賄賂」が効いたのか、裁定では、訴えた荻田主馬の方に非がありとして、即刻島送りの刑が言い渡される。

その報を知り、荻田を支援して江戸に集結していた仲間たちは、もはや、小栗暗殺しか手がないといきり立つが、そこに現れたのが、希代の剣客で彼らの同調者だった関根弥次郎(市川右太衛門)。
仲間たちの軽挙妄動を諌めた弥次郎だったが、自分は小栗のスパイとして仲間に潜入していた葉山庄之助(原建策)に連れ出され、小栗一派に襲撃されると、不覚にも負傷してしまう。

その傷付いた弥次郎を救ったのは、たまたま近くを通りかかったスリの宇之吉(中村錦之助)だった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

月形龍之介映画生活38周年の記念として、当時のオールスターキャストで作られた大作時代劇。

後年、テレビシリーズで何人もの水戸黄門役者が登場したが、やはり真打ちといえば月形龍之介だろう。
そのくらい、彼の晩年のハマり役であった。

大勢のスターに各々見せ場を作るため、ストーリー自体に取り立てて新奇さはない。

大御所は大御所なり、悪役は悪役なり、綺麗どころは綺麗どころなり、二枚目は二枚目なりの役柄を各々割り振られて、その様式通りに演じている。

黄金時代の東映オールスター時代劇とは、そういうものだったのである。

テレビシリーズとの差異を少し。

まず、助さん格さんは、印篭を見せたりはしない。(黄門本人が、葵の御紋の入った守り袋を見せる)

水戸黄門は、武州川越の在、八衛門と名乗っている。(テレビでは、越後のちりめん問屋、光衛門と名乗る)

今観て、取り立てて面白いという出来でもないが、公開当時は記録的な大ヒットだったらしい。

水戸黄門はテレビでしか知らないという人には、一度、たくさん作られた月形龍之介版水戸黄門映画も観て欲しいものである。