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ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐

1960年、東宝、橋本忍+国弘威雄脚本、松林宗恵監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

昭和16年12月、ハワイ近郊の海上で、ワシントン会議の結果を待っていた第二航空艦隊空母「飛竜」は、会談決裂を意味する「ニイタカヤマノボレ」の報を受け、攻撃隊を出撃させる。目標はハワイ、真珠湾である。

同年12月9日、奇襲に成功した飛行隊員の一人、北見(夏木陽介)は、空母が佐世保に帰港した際、郷里の実家に帰った。

そこでは、母親サト(三益愛子)と許嫁の啓子(上原美佐)が待ち受けていた。

北見は、啓子との結婚を決意しながらも、今後の戦いに支障が出ないか、一抹の不安を抱いていた。

1月10日、南方作戦に参加した北見は、比較的楽な戦いだったことに安心したせいもあり、同じ機に乗る上官の友成(鶴田浩二)に結婚の決意を伝える。

北見や親友の松浦(佐藤允)ら航空隊員たちは、つかの間の勝利に浮かれていた。

やがて、郷里での結婚式の日、父親(志村喬)と共に車で到着した花嫁啓子を待ち受けていたのは、軍服に着変えた北見の姿であった。直前に緊急召集の電報が届いていたのである。

北見は啓子に、結婚式の形などはどうでも良く、君には今日からこの家に来てもらうと言い残して出発するのだった。

やがて、ミッドウェー海戦にのぞむ北見。

電探(レーダー)を持たない飛竜ら攻撃船隊は、霧で互いの位置を計りかねていた。

ミッドウェー基地を襲撃した北見たち攻撃飛行隊は、小さな島と侮っていた相手から猛烈な火器を浴びせられ、苦戦する。

攻撃の効果不十分、第二次攻撃の必要ありとの打電を受けた空母飛竜では、司令官山口(三船敏郎)、加来艦長(田崎潤)らが判断を迷っていた。

敵空母攻撃用に装填されていた攻撃機の魚雷を爆弾に取り替えている間に、敵の空母が出現したら取り返しのつかないことになる。しかし、その敵の姿はまだ発見できていなかった。

急遽、攻撃機に爆弾を取り付けるように命令した山口ら司令部だったが、その作業中、敵部隊発見の報に接し、驚愕するのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

太平洋戦争の前半部、真珠湾攻撃からミッドウェーでの敗戦までを描く戦争大作。

ドラマらしいドラマはほとんどなく、冒頭から終盤まで、円谷英二の特撮で徹底的に見せまくるスペクタクルショーになっている。その割り切り振りは観ていても気持が良いほど。

本作が作られた1960年当時といえば、日本映画界は未曾有の超大作ブームの最中にあった。

この作品も例外ではなく、何本も作られた同種の東宝特撮戦争ものの中でも、突出して予算をかけているように見える。

戦時中の「ハワイ・マレー沖海戦」を、再びカラーで再現したような真珠湾攻撃をはじめ、全編に繰り広げられる特撮シーンでのミニチュアの数、スケールの大きさ、そのリアリティ、どれをとっても、円谷特撮の頂点と思える出来となっている。

本編セットの方も本格的に作られており、エキストラの多さなどを含め、その迫力には圧倒させられる。

山本五十六役の藤田進をはじめ、榎本健一、上原健、池部良、三橋達也、小林桂樹、平田昭彦、宝田明、加東大介、土屋嘉男、中丸忠雄…と、まさに東宝オールスター総出演。

後年、同じ監督、ほぼ同じ俳優陣、同じ特撮の使い回しで「連合艦隊」(1981)という作品が作られているので、両者を比較してみるのも一興かも知れない。

啓子役の上原美佐は、名作「隠し砦の三悪人」以降、出演作品が少ないだけに、本作は貴重な一本でもある。