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レスリー・ニールセン 裸のサンタクロース

2000年、アメリカ、ウィリアム・ディア監督作品。

ピーター・オルブライトは、一人、施設に預けられている少年だったが、今年も、その父親は会いに来られないという哀しい知らせを、世話係のシスター・グレタから聞かされるのだった。

さらに、ピーターがサンタ宛に「家族と一緒にクリスマスを過ごしたい」と書いた手紙を、グレタが暖炉の火にくべてしまうのを目撃し、夢を打ち砕かれるのだった。

それから25年が経過し、成長したピーター(スティーブン・エックホルト)は、12チャンネルテレビのレポーターになっていた。

彼は、デパートで勤務するクレア(ロビン・リブリー)と付き合っていたが、彼女の連れ子であるザック(マックス・モロー)からは嫌われていた。
他人のことに興味を持たず、自己中心的な性格のピーターの本性を、ザックは見抜いていたからだった。

そんなザックの目を盗んでクレアのアパートに泊まった翌朝、会社に急ぐピーターの車に、突然、空からサンタが落ちてくる。
それは、北極の基地から、トナカイの引く橇にのってクリスマスプレゼントを配っている途中、運転ミスから転落してしまった本物のサンタ(レスリー・ニールセン)だったのだが、クレアのアパートに運ばれた彼は、すっかり記憶を失ってしまっていた。

とりあえず、クレアのデパートで欠員が出ていた子供へのサービス用サンタ役のオーディションを受けさせるが、見事に失敗。
しかし、その後、ひょんなことから、その役を受けることになったサンタの様子を見ていたピーターは、名案を思い付く。

記憶喪失の彼のことをテレビで紹介し、クリスマスに合わせた涙の御対面番組を作ろうという企画である。

ピーターは、その企画で、自分が出世することを確信する。
しかし、一人、ザックだけは、子供らしい直感から、サンタを本物だと信じていた。

一方、行方不明になったサンタを探して、北極からマックス(トミー・デビッドソン)ら4人の妖精たちが、飛行機に乗って都会にやってくるのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

タイトルから、レスリー・ニールセン主演のいつものドタバタおバカ映画かと思いがちだが、実は、心暖まるクリスマスファンタジーの秀作である。

もちろん、コメディ仕立てではあるが、この作品のレスリーは、いわゆる悪ふざけキャラクターではない。
誠実なサンタを好演している。

冒頭のピーターの少年時代のエピソードが、後半の伏線になるのだろうということくらいは、大体見当がつくが、シスター・グレタの行動の本当の意味が氷解する辺りはちょっと意外性があって面白い。

ありがちな展開といってしまえばそれまでだが、それでも、後半は胸が熱くなるから不思議だ。

本来、クリスマス映画に観客が求めるのは、変に捻ったものではなく、こういう「オーソドックスな話」「約束されたハッピーエンド」なのだろう。

比較的低予算で作られたものらしく、VFXなどは安っぽいし、日本では劇場公開もされなかったらしいが、一見の価値はある作品だと思う。

それにしても、今でもこうした「定番季節ネタ映画」がきちんと作られているアメリカが、ちょっぴりうらやましくもある。