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ギャング対Gメン

1962年、東映東京、但馬栄脚本、深作欣二監督作品。

港のクレーンに釣り下げられた惨殺死体が発見される。
その身元は、警視庁の藤川警部(神田隆)がギャング団内偵のために潜り込ませていた刑事だったが、これで犠牲者はすでに3人目だった。

部下を失い苦悩する藤川警部に、尾形刑事(加藤嘉)が一つの提案をする。
ギャング団の黒幕と思われる三立興業の社長辰村(丹波哲郎)の周辺を探るには、彼らと同じような知識が必要だが、自分に心当たりの人物がいると言うのだ。

尾形が訪れたのは、元ギャングで、今は東島ブラザーズという運輸会社を経営する東島(鶴田浩二)と、その妻、明子(佐久間良子)だった。
警察のGメンとして元の仕事に戻ってくれないかとの尾形の依頼を頑なに拒否する東島。

しかし、そんな東島の会社は、地元のギャング団に脅されていた。

いきなり帰ってきたトラックには、ギャングに暴行された社員運転手と、少年院から出てきたばかりの腹違いの弟、梶修(千葉真一)が乗っていた。
結局、その運転手も会社を去り、窮地に陥る東島。

さらに、知人で、元ボクシングチャンピオンだった飲み屋のマスター丈治の店まで、ギャング団の罠にかかり閉店に追い込まれたことを知った東島は、Gメンになることを決意するのだった。

東島は、尾形刑事から高性能の車と、運転手として車荒らしの常習者松島(砂塚秀夫)、さらに、拳銃の名手で血の気が多い刑事、野口(織本順吉)を紹介される。

それに、金庫破りの名人五郎(曽根晴美)と丈治が仲間に加わった東島は、さっそく元のギャングに戻ったという噂を、彼ら全員に街に広めさせるのだった。

そんな東島に近づいてきた一人の青年があった。

5年前に横浜で、東山に撃たれて死んだ黒木という男の弟(梅宮辰夫)だったが、ひょんなことから、彼も、東島のボディガードとして、作戦の最後まで付き合うことに。

さらに厄介なことには、弟の修までもが兄の手伝いをしようと独断で三立興業に乗り込み、辰村の子分として雇われていたのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

東映ギャング映画路線の一本。

テレビの人気シリーズだった「アンタッチャブル」にヒントを得て作られた作品らしいが、娯楽性豊かな捜査ものになっている。

修や黒木を加えると、東島の仲間は計7人ということになり、特殊技能を持った七人が一つの計画を遂行しようとする現代版「七人の侍」といえるかも。

丹波哲郎は、ソフト帽が似合う、まるで「Gメン’75」のボスの風格。

千葉真一は、少年院帰りという設定通り、大きな目が愛くるしい少年顔。

梅宮辰夫は、モデルのようにすらりとした二枚目の役所である。

注目すべきは、三立興業の息のかかったナイトクラブ「夜の城」で歌っているのは、若き日の沢たまきである。ほっそりして、なかなかチャーミングな顔だちだ。

主役の鶴田浩二は、沈着冷静、大体、いつも通りのイメージ。

そつなくまとめた通俗娯楽作品という感じで、特に奇を衒ったような演出もなく、平凡な印象もあるが、最後まで安心して観られることも確か。