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コント55号 世紀の大弱点

1968年、東宝、松木ひろし脚本、和田嘉訓監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

「週刊ウィーク・ポイント社」の記者矢島周作(萩本欽一)とカメラマン北川洋太(坂上二郎)は、同じ団地の一室に同居している貧しく冴えないコンビ。

今日も、編集長(天本英世)に命ぜられて、作家、竹村直彦(由利徹)の原稿をもらいに行くのだが、書けずに悩む竹村を気分転換させるつもりで誘ったクラブ「RIC-U(リック-ユ)」で、飲み逃げされてしまうだけの結果に終わる。

その頃、「ウィーク・ポイント社」に売り込みに来ていた作家志望の赤石胴幹(上田吉二郎)は、けんもほろろに原稿を返されて、すごすごと帰る途中、長年別居している女房(曽我町子)に見つかり、捕まっては一大事とタクシーで逃げるのだが、その降りたところで、偶然すれ違ったのが、矢島、北川コンビ。

矢島、北川コンビは、胴幹が落として行った原稿を手にすると、それに、思い付いた架空の女流作家名「山吹咲代」と書き込んで編集長に渡してみる。

すると、それが編集長の気に入られ、週刊誌に掲載された作品「燃える雌蕊」は大評判。

思わぬ展開に、架空の女流作家をでっち上げなくてはならなくなった二人は、北川が秘かに思いを寄せていた「RIC-U」のホステス、糸美(水垣洋子)に白羽の矢をたてるのだった。常日頃から有名人になることを夢見ていた糸美は快諾。

さらに、原稿の封筒に記されていた住所から、胴幹の所在を突き止めた二人は事情を話し、こちらも、小説執筆依頼の承諾を得ることができる。

かくして、人気女流作家を擁した「週刊ウィーク・ポイント」は破竹の売れ行き。
糸美は豪華マンションに住めるようになり、矢島の社内での態度も大きくなっていく。

しかし、その異常人気に疑問を抱いていた人物が一人いた。

「RIC-U」にも出入りしていたライバル誌「週刊ロマン」の女性記者、麻子(真理アンヌ)だった。

彼女は、暇を持て余して「RIC-U」に遊びに来て、GSフラワーズのボーカル鹿山久夫(内田裕也)と踊っている糸美の姿を秘かに写真におさめるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

コント55号の東宝初主演作で、植木等主演「日本一の裏切り男」の併映作品でもある。

フジテレビのお昼の公開番組「お昼のゴールデンショー」にレギュラー出演するようになって、一躍、お茶の間の人気者となった二人を起用して、人気下降気味だったクレージー映画のバックアップをさせようという狙いだったようにも思える。

劇中、評論家の役で前田武彦が登場しているのは、その「お昼のゴールデンショー」の司会が彼だったから。

残念ながら、添え物映画レベル以上の予算はかけられなかったと見え、特に、コント55号の面白さを引出したとも思えない平凡なドタバタ劇で終わっている。

後半、やむを得ず、自分達で新作小説の執筆を始めようとする矢島、北川コンビが、段々、妄想と現実の区別がつかなくなって行き…という展開は、不条理劇っぽくて面白くなりそうな予感もあったのだが、結局、うまくそのハチャメチャさをふくらませることも、収集することも出来ず、結局、最後はごまかしてしまったような印象。

超売れっ子状態だった二人のスケジュールも思うように取れず、相当、短期間で撮り上げねばならなかった事情もあったのだろう。

ちなみに、冒頭「今を去ること、3年3ヶ月前…」と、欽ちゃんが二郎さんに何度もいうのは、確か「代議士と書生」という初期コントの決めゼリフ。

主題歌を歌っている二郎さんは、もともと歌手志望の人だっただけに、その歌唱力は確かである。

森光子も、ちらり出演している。