TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

将軍家光の乱心 激突

1989年、東映京都、中島貞夫+松田寛夫原作+脚本、降旗康男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

日光東照宮の近くで湯浴みしていた、将軍家光(京本政樹)の長男、竹千代(茂山逸平)は、根来の一党に襲撃される。

それに対峙したのは、堀田正盛(丹波哲郎)から竹千代警護のため雇われていた浪人、石河刑部(緒形拳)であった。

竹千代は何とか無事、堀田家へ逃げおうせたが、刺客の黒幕は、老中、阿部重次(松方弘樹)、さらに、その背後には、実父である家光がいることを知っている正盛は、後五日後に迫った元服の日までに、竹千代を江戸へ帰らせることにする。

その行く手には、阿部重次が放った伊庭庄左衛門(千葉真一)ら暗殺団が待ち受けていることを承知の上で…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

千葉真一がアクション監督を勤め、彼が主催していたJACのメンバーたちが多数参加しているアクション時代劇。

一見、派手なアクションがあれこれ用意されているのだが、特に記憶に残るような斬新なアイデアに乏しく、単調なストーリー展開とも相まって、今一つ、乗り切れない出来になっているのが惜しまれる。

アクション主体で見せるため、話はあくまでもシンプルに…という意図が背景になったのだろうが、あまりにも展開が直線的と言うか、ひねりがなさ過ぎて、アクションそのものの魅力も半減させてしまう結果になったのだろう。

主役石川刑部と敵役阿部重次とが、因縁浅からぬ仲と言う設定は良いとしても、白塗りで狂乱振りを見せる家光役の京本、先兵隊の頭とも言うべき伊庭役の千葉と、阿部重次本人が、各々悪としての魅力を分散してしまっている感じで、それが結果的に、全体の盛り上がり感を削いでいる印象がある。

中国から招いたクンフー役者が、口が不自由な竹千代護衛隊の一人として登場しており、本場の酔拳や猿拳を披露する所や、人馬共々が、爆発等で転倒するシーンは特撮ではなく実写で表現されているため迫力がある。

当時、評判になった、長門裕之火だるまのシーンは、長門の顔に似せて作られたマスクが無表情で無気味。

今観ると、織田裕二が、護衛隊の侍の一人として参加しているのも見所だろう。

セリフはないながら、爆薬を操る侍として、壮絶な最期のシーンは印象的である。

馬に乗っての逃避行のシーンで、いきなり、アルフィーの唄うポップスが重なる演出等も、正直違和感を感じると言わざるを得ない。

全体的な印象としては、『意余って、力足らず』…といった所か。