実質的な主役は、妙なオッさんスペースポリスに出会う忍成君の方だろう。
でも、やっぱり、私はスペースポリスを演じている変なオッさん、目黒祐樹から目が離せなかった。
この人、往年の時代劇俳優、近衛十四郎の次男で、松方弘樹の実弟である。
子役時代から、テレビ、映画の時代劇ファンタジー等に多数出演し、いわば「特撮子役」だった人。
青年期には、伝説の実写版「ルパン3世 念力珍作戦」でルパンを演じた人でもある。
いわば、名門の出ながら、俳優としては大成せず、今では、食べタレとか旅レポーターみたいな仕事ばかりをしているちょっと不遇な人。
その目黒祐樹が主演する、久々の特撮ものと言うのだから、古くからのファンとしては観なくてはなるまい。
今では、この目黒祐樹、お父さんにそっくりである。
近衛十四郎は、晩年、テレビ時代劇「素浪人 月影兵庫」というコミカルな作品に出ていて、子供から大人まで大評判をとっていたものだ。
あんまり、面白すぎたので、原作者からイメージが違い過ぎるとクレームがつき、「素浪人 花山大吉」とタイトルの方を変えてしまったくらい。
そのとぼけたお父さんの雰囲気が、この作品でとぼけた演技をしている目黒祐樹にあるのである。
ストーリー自体は、ナンセンスものと言うか、たあい無いドタバタもの。
何やら「T3」とか「キル・ビル」などをちょっと連想させるものも登場するが、何せ、基本的に全く予算をかけていない、いかにもチープなビデオ作品。
ま、一応、合成等も使用されているが、映画好きの学生が撮ったおふざけ作品に毛が生えた程度といってもよいレベル。
何で、こんなチープな作品に、目黒祐樹が出ているのか、最後まで判らなかった。
若い作家に対するサービス精神と言うか、一種のシャレで出たのかな?
SFファン向けと言うよりも、出演している俳優に興味がある人以外には、観る必要もない作品かも知れない。
