1973年、東京ムービー、宮崎駿原案+脚本+画面設定+美術設定、高畑勲監督作品。
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竹林の中の一軒家に「トラちゃん?」と呼び掛けながら二人組の男が忍び込みます。
でも、その屋敷が変な様子なのに気付く二人。
とてつもなく大きな椅子や食事、歯ブラシ…、人間のものとは思えません。
やがて、彼らは、窓の外から顔を覗かせるパパンダ(声-熊倉一雄)、パン(声-太田淑子)、ミミ子ちゃん(声-杉山佳寿子)の姿を見かけて逃げ出してしまいます。
始めて泥棒さんに会えて、喜んでいた三人はがっかり。
ところが、その後、自分の食事がなくなっていたり、タオルが汚れていたり、大切なラッパが壊されているのに気付いたパンちゃんは、自分のベッドに誰かが寝ているのに気付きます。
それは、小さなトラの子供、トラちゃん(声-弥永和子)でした。
たちまち仲良しになった四人は、それから一緒に生活を始めるのですが、ある日、買い物に出かけたミミ子ちゃんは、一緒に出かけたトラちゃんとパンちゃんの姿が見えなくなったことに気付きます。
街で出会った友だちが言うには、サーカスが来ていると言うではないですか。
ひょっとして、そこに二人がいるのではないかと察したミミ子は、サーカスのトラに捕らえられたパンちゃんを発見します。
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東宝チャンピオン祭り「ゴジラ対メガロ」「飛び出せ!青春」と同時に上映されたアニメ作品。
前作「パンダ・コパンダ」同様、楽しい作品になっている。
本作の見所は、大雨の後、洪水で水浸しになった街を舞台にした、後半のファンタスティックな展開。
水没した街を走る機関車というイメージの楽しさ。
トラとであっても、全く怖がったりせず、むしろ、積極的に近づいてしまうミミ子のキャラクターは相変わらず。
前作同様、嬉しくなると、つい逆立ちしてしまう癖も同じである。
本作が、後の「ルパン3世」や「となりのトトロ」の原点であるのは明白で、例えば、家の一階部分が水没してしまったミミ子たちが、屋根に登って、ピクニック気分を味わっているシーン。
ミミ子に誘われ、紅茶をもらって、クッキーを食べようとしたパパンダが、屋根のてっぺんからバランスを崩して、急勾配の洋館の屋根を走りながら軒まで降りてしまう所、「カリストロの城」の有名なシーンを彷彿とさせる。
冒頭のシーンで、家に忍び込んだ二人組の一人の声を担当しているのは山田康雄である。
彼に対し、ミミ子が「泥棒さんでしょう?」と訪ねる部分も、「カリオストロの城」のクラリスの発言を連想させる。
また、サーカスに帰ったトラちゃんからSOSの知らせを受け取ったミミ子たちが、列車にこじ込められたまま孤立していた動物を発見したシーン、パパンダが大きな口を挙げて吠えるのだが、そこは、角度と言い、表情と言い、「トトロ」そのままである。
一見、ヌーボーとして見えるパパンダは、イザと言う時には、とてつもない能力を発揮する。これも、トトロそのままといって良い。
たくさんの動物たち、走る機関車、慌てふためく大人たち…、どれも、子供達にとっては愉快でたまらない状況ばかりだろう。
悪い人等一人も登場せず、主人公も何ものにも動じず、天真爛漫。これで楽しくないはずがない。
前作「パンダ・コパンダ」と、そん色のない名作といえよう。
