1959年、日活、川内康範原作+脚本、斉藤武市脚本+監督作品。
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ダイス賭博の争い事から相手を負傷させてしまい服役していた原田譲司(小林旭)は、刑務所から出る日、迎えに来ていた元仲間の会津(二本柳寛)とベレー(西村晃)に、もう足を洗って国へ帰るので、これ以上付きまとわないでくれと釘をさす。
故郷の土佐に帰ってきた譲司は、幼馴染みの麻子(中原早苗)と出会った後、実家で母親(高野由美)と再会する。
特攻隊として出撃して戦死した兄義之(小林旭-二役)の分まで、親孝行すると誓った譲司だったが、地元のヤクザ、北村貞夫(内田良平)たちの執拗な妨害もあって、なかなか就職口が決まらなかった。
譲司にとって、計算違いだったのは、かつての恋人、山本晴江(浅丘ルリ子)が、北村と結婚すると言う話を知ったことだった。
実は、彼女の父親が100万という借金を北村からしてしまい、その返済ができないまま他界してしまったためだったのだが、故郷の風は譲司にはあまりに冷たく感じられた。
かつて、刑務所の慰問会で聞いた歌手(ペギー葉山)が唄った「南国土佐を後にして」という曲に励まされて、頑張ってきた譲司であったが、ベレーの執拗な接近も嫌い、結局、志半ばで東京に舞い戻ることにする。
列車の中で一緒になった麻子に説得された譲司は、彼女の姉はま子(南田洋子)が経営する東京の料亭「つかさ」に身を寄せることになる。
はま子こそ、かつての兄義之の恋人だった女だったのだ。
譲司に、かつての恋人の面影を重ねるはま子同様、妹の麻子の方も、譲司に思いを募らせていくのだが、当の譲司は、東京でも前科者と言う経歴のため、職に付けない自分に焦りを感じていた。
そんな譲司の元に、ダイスをちらつかせて元のサヤに戻そうと、ベレーがしつこく接触して来ようとする。
やがて、譲司の元へ逃げてきた晴江を助けるため、彼女を追って上京してきた北村が要求する100万円を一晩で返そうと、譲司はあれほど戻るまいと決めていたダイスギャンブルの勝負の世界に戻る決心をすることになる。
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ペギー葉山のヒット曲をヒントに作られた歌謡ドラマ。
前科があるばかりに、どんなに真面目に生きようとしてもできない主人公の哀れさ。
ひたすら逆境に耐え抜く主人公の姿には、どこかしら、ブルース・リーなどの香港クンフー映画を連想させるものがある。
本作のような大衆向け日活青春活劇が、後にかの地に影響を与えたものと思われる。
今観て、ものすごく面白いと言うほどのものでもないが、若きマイトガイ旭や、ふっくらしていた時代の浅丘ルリ子、内田良平、南田洋子、金子信雄などの姿が瑞々しい。
いかにもねちっこく、嫌なチンピラを演じている西村晃も印象的。
ウルトラの母としても有名なペギー葉山は、つごう3シーンに登場する。
この作品の成功をきっかけとして、後の「渡り鳥シリーズ」が始まったらしい。