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みゆき

1983年、キティフイルム+東宝、あだち充原作、高星由美子脚本、井筒和幸監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ある夏休み、父親がカナダに出かけていて、一人留守番状態だった高校生、若松真人(永瀬正敏)は、思いを寄せている同級生鹿島みゆき(三田寛子)を別荘に呼んで思い出作りをしようと企んでいたのだが、悪友、竜一(嶋大輔)、村木(吉田充)や、みゆきに付いてきたおじゃま虫、佐知子(桂田裕子)、清美(横田ひろみ)らに邪魔され、ハチャメチャな毎日を送っていた。

そんな真人は、ある日、木の上から落ちてきたスイカに直撃され気絶。

何と、木の上に登っていたのは、6年間滞在していたカナダからこっそり帰国していた腹違いの妹みゆき(宇佐美ゆかり)であった。

さんざんな目にあって、自宅に戻ってきた真人は、久々に出会った妹が可愛くなっていることに気付き、彼女と二人きりで過ごすことに、何だかドキドキしはじめるのだった。

そんな真人の気持を知ってか知らずか、妹みゆきは、兄真人には、自分と同じ名前の彼女がいると知り、彼女に対し猛烈な嫉妬というか、ライバル心を燃やしはじめる。

さらに、真人を心配させるのは、家庭教師として招いた男(北詰友樹)が妙にハンサムだったり、いい加減な竜一が、妙に妹に接近しはじめたことだった。

その一方で、何とか、自分のことを誤解されている鹿島みゆきに、誤解を解いてもらおうと、何度も仲直りをしようとする真人であったが、その度に、又、新たな誤解を生んでしまう。

ある日、妹みゆきが、妙な中年男生と一緒の所を目撃した真人は、その男に食って掛かるが、後日、その相手が、刑事をしている鹿島みゆきの父(三遊亭円楽)だったということを知る。

さらに、真人の前に、謎めいた美女(石原真理子)まで現れる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

有名なラブコメコミックの映画化だが、展開にこれといった起伏もなく、だらだらとエピソードがつながっているだけのような、何とも単調な仕上がりになっている。

というのも、この作品、「ガキ帝国」(1981)で注目された井筒監督が、始めてメジャーからオファーされ、本格的な監督稼業を決定付けるために引き受けた作品ながら、あまりのプレッシャーゆえに、鬱状態になってしまい、薬を服用し、廻りのスタッフたちに「大丈夫だから…」と、支えられるように撮り終えた問題作だったらしいのだ。

薬を飲んだ直後は、一時平常心が戻り、撮らなくてはならないシーンのことだけには何とか集中できるのだが、それが終わると、又、鬱状態に…というような連続だったと、監督自ら、某対談集で告白しているのを読んだ。

確かに、ストーリーの流れにそって、何となく画面はつながっている…、でも、ただそれだけ…という感じ。

観る前は、三田寛子のアイドル映画かと思っていたが、実際は、宇佐美ゆかりの方がメインで、三田寛子の方はやや脇っぽい扱い。

妹のみゆきの方は、下着姿や、かなりきわどいシーンも多く、三田寛子では不可能な役柄だったからだろう。

当然、宇佐美ゆかりの方は下手ながら体当たり演技で、まだ幼な顔の永瀬君同様、良く頑張っているだけに、この出来上がりはちょっと可哀想な気がする。

一言でいってしまえば、「毒にも薬にもならない青春コメディ」とでもいった所か。

家庭教師役の北詰友樹は、マイナーテレビヒーロー「メガロマン」で主役を演じていた人でもある。

石川五右衛門みたいなヘアをしている嶋大輔や、マッチ風の髪型の永瀬君、さらに助監督に、平山秀幸氏や冨樫森氏の名前が連なっている所などにも時代を感じる。

映画としては評価しにくいが、こういう時代もあったということを知るという意味では貴重な作品かも知れない。