1979年、サンリオ・フイルム、オービッド原作、伊丹十三脚本、タカシ監督作品。
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文字が宇宙空間のかなたに流れていくスターウォーズ風のタイトルが、まず時代を感じさせる。
神の加護を忘れて、動物を殺したり、人間が勝手な行動に出始めたのに怒った全能の神ゼウスは、地上に大洪水を起こす。
それに立ち向かうのは岩男。
洪水の後、唯一残った男女、デウカリオンと妻のピラは、神の声に従い、砂漠に落ちていた石を背後に投げて、人間が復活するよう願いをかける。
投げられた石は軟らかくなり、そこから人間が生まれる。
狩りの名人アクタイオンもそうして生まれた一人だった。
彼は、狩りの女神アルテミスが支配するアルカディアの森に、それと知らずに迷いこんでしまう。
彼が、そこに見たものは…。
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上記のエピソードをはじめ、蛇に喰われて姿を消してしまった新妻エウリディケを追って、地獄に迷いこむ夫オルフェウスの物語、アテナの女神とヘルメウスが、素直で優しい妹へルセと嫉妬深い姉アグラウロスに遭遇する物語、母ダナイを愛した王から、メデューサ退治を命じられるペルセウスの物語、太陽の神アポロンを父に持つ馬車好きの少年パエトーンが、父親しか操れないといわれる炎の車をこっそり乗り込んでしまう話等、神話を元にした5つのエピソードを集めたアニメ。
26億の製作費と6年の歳月を費やしたらしいが、当時としても古いタイプのアメリカ製アニメ感覚ばかりが目立ち、魅力に乏しいキャラクター、濁色が多く不鮮明な画面、救いのない暗い話ばかりという具合に、意図的に日本人が嫌うように作っているとしか思えない出来になっている。 一体どういう経緯で作られたものなのか?プロデューサーの感覚を疑いたくなる。
特に幼児向けの内容とも思えず、ターゲットも不鮮明で、プロデューサー自身が、アニメを全く理解していなかったとしか思えないのだ。
一応、フルアニメを謳っているが、さほど流麗な動きではなく、絵柄の稚拙さもあり、全体的にひどく安っぽく見える。
海外に発注して、いいようにボラれたということなのだろうか?
特に、どのエピソードのキャラクターも、皆同じなのがつまらない。
髪型や色、男女差があるくらいで、基本形は皆全く同じ描き方なのだ。
キャラクターの口が全く動かないのも不自然な感じで、古い海外アニメなどにはある手法だが、ドラマ主体で発展してきた日本のアニメとはかなりかけ離れた手法に思える。
小森のおばちゃまなどが、ゲスト的に声を当てているのが珍しいくらい。
「宇宙戦艦ヤマト」(1977)のヒットを嚆矢とする劇場用のアニメブーム以前から作りはじめていたとしても、あまりにもアナクロ的な感覚なのが哀しい。
「勘違い」という言葉がピッタリの作品としかいいようがない。
