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蛇姫様

1959年、大映京都、川口松太郎原作、渡辺邦男脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

烏山三万石の琴姫(嵯峨美智子)は、江戸上屋敷で病床に伏している父、大久保佐渡守(香川良介)ならびに、病弱の弟小太郎(舟木洋一)に隠れて、秘かに御禁制の密貿易を続けていると噂される家老、佐伯左衛門(河津清三郎)を城内で詰問していたが、財政窮乏の藩のため致し方がないことと、けんもほろろに言い返されていた。

すでに、将軍家では、藩に隠密を潜入させているとの噂もあり、密貿易のことが知られては、大久保家はお取り潰しになってしまうのだった。

実は佐伯は、三斗薪山の竈に大勢の職人を掻き集め、輸出用の焼き物を強制的に焼かせているだけではなく、1万両にも及ぶ隠し金を貯えていた。

そんな琴姫を心底支えていたのは、側女のおすが(中村玉緒)と、お側付きの新免(林成年)だけであった。

おすがは、月に一度の宿下がりで、実家のひのきやに帰り、兄である千太郎(市川雷蔵)と一緒に笛の演奏を楽しんでいたが、たまたま、遊びに来ていた佐伯の次男で無法者の彦次郎(浜田雄史)に呼ばれる。

その乱行を止めようとして斬り付けられた父親のことを知った千太郎は、植原一刀斎(黒川弥太郎)から日頃習っていた剣術で立ち向かい、彦次郎の顔を袈裟がけに斬ってしまう。

父とおすがの強い勧めもあり、千太郎は家を出て、家老が差し向けた追っ手から逃げることになるのだが、ひょんなことから、旅芸人の一座に紛れ込む。

ひのきやにかねてより恩義を受けていた座長の花村十蔵(尾上栄五郎)と、千太郎に一目惚れしたお島(近藤美恵子)の助言もあり、千太郎は、身を隠すために、役者の十三郎と成り変わる。

一方、江戸屋敷より、藩に潜入した植原一刀斎に連絡を取ろうと、文を託されたおすがは、城を出たところで、佐伯一派に見つかり、斬られてしまうのだが、持っていた文箱だけは、突然出現した蛇によって守られることになる。

絶命したおすがは、蛇に化身して、琴姫や兄、千太郎の元へ現れ、変事を知らせるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

長谷川一夫主演の東宝版「蛇姫様」(1940)、東千代之介主演の東映版「蛇姫様」(1954)、美空ひばりが琴姫を演ずる同じく東映版「新蛇姫様 お島千太郎」などと並ぶ同一原作もの。

復讐譚をベースにした、波瀾万丈の伝奇時代劇といった所か。

主人公が役者に扮して、復讐の機会を待ち受けるという設定は、単なる剣劇だけではなく、「劇中劇」的な華やかな演劇要素も加わる魅力もあり、当時は良く使われたパターンだったのであろう。

特に、芸達者なスターを引き立たせる設定だと言える。

市川雷蔵は、やや線が細いようにも感じられるものの、良く主役を演じている。

蛇に変身してまでも、姫と兄を守ろうとする健気なおすが役の中村玉緒も可憐。

全体的に、予算をかけた大作らしく、衣装やセットも見ごたえ感十分。