1961年、東映京都、瀬川昌治+川上参八脚本、小石栄一監督作品。
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正月映画らしく、ホリゾントに描かれた羽子板の絵が手前に倒れ階段になり、その中から登場した主人公小春(美空ひばり)が、私、恋人を探しているんです…と、スクリーンに一枚の写真を見せる。
そこに写っているのは、高倉健。
小春が、スクリーンに向ってウインクしてみせてタイトルが始まる。
東京タワーに登って、双眼鏡で東京の町並みを覗き込む、柳町の芸者置き屋松乃家の面々。
小春が、とあるビルの一室でもめている若い男女を発見。
男が金を出して謝っている所を見ると別れ話の最中らしい。
レストランの一隅に座って、今の顛末を話の種に盛り上がる小春と仲間の芸者たち。
すると、そのテーブルに、今、噂をしていた先ほどの双眼鏡の中の青年が近づいて来るではないか。
そのテーブルは自分のものだったのだという。
意味が判らない小春は、因縁を付けられたと思い込み、あれこれ言い返すが、小春の腰掛けていたイスにはその男の帽子が置かれていたらしく、知らずに、小春がお尻で潰していたことに気付く。
別の席に移ったその青年、又別の女性と出会うと、先ほどと同じように金で別れ話をしだす。
後日、アフリカ、コロンドから来日したアジバ6世という王様を招いた宴会に、松乃家全員が駆り出されることになるのだが、その場で、小春は、先日であった、あの女たらし風の青年に出会う。
聞けば、その青年、外務省のアフリカ担当書記官、花村健一(高倉健)だという。
その席での、小春の芸に惚れ込んだアジバ国王の様子を見ていた山中財閥の山中達左衛門(永田靖)は、コロンゴのダイヤ発掘権を独占するために、50万円の金を貸している松乃家の女将(浪花千栄子)の話を盾に、小春を利用しようと、部下の小谷(殿山泰司)を接近させるのであった。
しかし、外務大臣(山村聡)も又、ダイヤ発掘権を国が取得できるように、白井課長(掘雄二)を介して、花村にアジム国王接待の命令を出していた。
かくして、互いに契約書にサインをもらおうとする、国王への花村と小春のサービス合戦が始まるのだが…。
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美空ひばりが柳町の芸者に扮するシリーズものの第4作目。
今回は、怪し気な外国の王様をめぐる騒動が中心となり、荒唐無稽さが極まっている。
アフリカの国と言う設定らしいのだが、アジバの部下たちは、全員、ターバンにスコットランドのキルト姿と言う珍妙な出で立ち。
しゃべる言葉もオリジナルらしく、「ウェンデンデン」「ラ」などハチャメチャ語が楽しい。
山中の背後で暗躍するソベリカ国の諜報部員には、当時、外国人俳優として日本映画に良く出演していた、ハロルド・コンウェイが扮している。
この時代の作品は大抵そうなのだが、 高倉健は現代劇にもかかわらず、アイシャドーにアイラインという濃いメイク顔で登場する。
英語ペラペラのエリート青年を演じているのも珍しいが、途中、花瓶が二階から彼の頭を直撃し、目を廻す…という、コントまがいの芝居も披露している。
花村のフィアンセは中原ひとみ。
劇中、婚約ブームとか、皇太子様が通っていらっしゃるの?などという、当時の「ミッチーブーム」が背景にあるようなセリフが登場する所にも注目。
全体的に、たあい無い歌謡映画とでもいった感じの大衆的な娯楽作。
女にだらしのない男を演じている掘雄二のとぼけた演技も珍しい。
