1993年、松竹、畑正憲原作、丸山昇一脚本、角川春樹脚本+監督作品。
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北海道の十勝で、恐竜の研究に没頭している科学者の父親(渡瀬恒彦)とおばあちゃん(草笛光子)と三人暮しの立野千恵(安達祐実)は、馬のバッフン、犬のタンタンにだけ心を開く自閉症気味の孤独な少女。
千恵の母親(大竹しのぶ)も同じ学者であったのだが、ニューヨークの大学に招聘された時、母親としてよりもキャリアを選んで、去っていたのだった。
そんな父親と、助手の大助(平田満)は、5000年くらい前の化石化していない恐竜の殻を発見していた。
生きた恐竜を発見できるかも知れないと、北海道の密林に探検に出かけた父親と千恵、大助たちに、テレビ局の取材を兼ねた福富(伊武雅刀)を加えたメンバーは、土地を守っていたアイヌの信田(常田富士男)に案内され、禁断の奥地へと分け合っていく。
千恵は、その森の中で不思議な声を聞く。誰かが彼女を呼んでいるのだ。
彼らが洞窟の奥に発見したのは、ピラミッド型のガラスに保護されていた謎の卵であった。
卵を持ち帰ろうとした彼らは、崩壊を始めた洞窟から命からがら逃げ延びる。
神の怒りをしずめるために残ると言う信田だけをその場に残して。
研究所に持ち帰った卵を孵化させるために、福富は、ニューヨークから千恵の母親を呼び寄せるのだが、彼女との再会を待ちかねていた千恵に、帰郷した母親は冷淡だった。
やがて、孵化に失敗したかに思えた卵が、側で千恵が吹いたオカリナの音に呼応するかのように、恐竜の赤ん坊が誕生する。
その恐竜にREXと名付けた千恵は、自分が母親がわりとして、恐竜の子供を育てることになるのだが…。
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角川50周年、松竹100周年記念作品で、信じられないことに、松竹歴代興行収入1位の座をいまだに保持している作品でもある。
あくまでも、幼児向けの作品であり、大人がどうこう言う類いの内容でもないのだが、公開当時、子供達や同伴の母親たちには好評だったようで、監督の不祥事で、公開が途中打ち切り等ならなければ、もっと記録を伸ばしていた可能性がある。
予算をそれなりにかけているせいか、松竹映画らしく見えないのが特長。
前半の洞窟内のシーン等、セットもしっかり作られており、東宝特撮を観るような感じ。
子育てができない母親の姿を、恐竜が滅びた原因の一つと結び付け、千恵自らが自分でその子育てに挑戦していくことによって、自分自身の心も徐々に解放させていくと言う筋立ては、観客の親子にピッタリだったのかも知れない。
REX自体は、基本的にはマペット形式で、色々、動かすのに苦労している感じが伺えるが、照明が平板なこともあって、やはりちゃちにしか見えない。
日本でこの手のものを作れば、どうしても人形劇になってしまうという典型かも知れない。
ムー大陸などといった荒唐無稽な要素も含めて、リアリズムで描こうとしたものではなく、あくまでも「人形劇ファンタジー」のつもりで作っていたのだろう。
後半は、ミュージカル要素や、オールドタイプのハリウッド映画に憧れをもっているような、監督自身の趣味性が良く出ている。
大人が観るには、かなりテンポもゆるく単調だが、幼児にはちょうど良いかも知れない。
樹木希林が登場し、ピップエレキバンのCFパロディをやったり、安達祐実自身も、当時流行っていた「具が大きい」カレーのCFセルフパロディ等をやっているのが、流行ネタだけに、今となっては通じなくなっているのが哀しくもある。
